研究課題/領域番号 |
22K07081
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研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
清家 総史 広島国際大学, 薬学部, 助教 (90806275)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | Aeromonas / 外膜小胞 / OMVs / バイオフィルム / biofilm |
研究実績の概要 |
本研究では,菌の定着・重症化の引き金になっていると考えられているAeromonasのbiofilm形成と菌が生成する外膜小胞(Outer membrane vesicles:OMVs)との関係に着目し,biofilm形成メカニズムを提唱するとともに,そのメカニズムを打破する新たな抗菌戦略を模索する. これまでの検討により,OMVsが本菌のbiofilm形成を促進することを報告しているが,菌株によってOMVsと菌体の相互作用,そしてbiofilm形成促進作用に差があることを見出した.そこで,OMVsによるbiofilm形成促進作用を受けやすい株に注目し検討を重ねた結果,菌体とOMVsの相互作用を増強している可能性のある菌体成分を見出した.本年度の研究では,その菌体成分の特定,およびその菌体成分とOMVsの相互作用がどのような生理的意義を有するのかについて検討を行った.菌体成分は,精製菌体成分をnanoLCMSMSで解析することで特定した.一方,電子顕微鏡による解析により,培養環境下において,特定された菌体成分とOMVsとの相互作用も観察された. 次に,本現象がどのような生理的意義を有しているのかを検討するため,OMVsとその菌体成分を共存させてOMVsとの作用を比較検討した.その結果,OMVs単独処理の場合と比較し,特定した菌体成分が共存する方が,OMVsの作用が増強する結果を得た.このことは,特定した菌体成分を有する株ではOMVsとの相互作用を増強し,biofilm形成能を高めている可能性があることを示唆している. 今後は,本現象についてさらに検討を重ね,OMVsによるbiofilm形成制御機構を解明していく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
菌体成分のノックアウト株の作成に時間を要している。引き続き菌体成分とOMVsの関係に着目して検討を行う。
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今後の研究の推進方策 |
今後の検討は以下の方針に従い、検討を行う予定である。 1)菌体成分とOMVsの相互作用メカニズムの解明 2)OMVsによるbiofilm制御メカニズムの解明
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、やや研究課題の進行が遅れているため、予算執行額に残が生じた。しかし、徐々に研究の進行具合は改善しているため、残額分は2023年度に有効活用する予定である。 具体的には、論文の投稿費用、試薬の購入費用に充てる予定である。
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