研究課題/領域番号 |
22K07084
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
大場 真己 東京農工大学, 農学部, 特任准教授 (30816559)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 組換えウイルス / 豚エンテロウイルスG / 豚トロウイルス / EVG-Type1 / EVG-Type2 |
研究実績の概要 |
本研究で研究対象としているエントロウイルスは、エンテロウイルスとトロウイルスの自然発生組換えによって生じたウイルスであり、エンテロウイルスの一部にトロウイルスの一部(PLCP;パパイン様システインプロテアーゼ)が挿入されたゲノム構造をしている。エンテロウイルスにトロウイルスの一部が挿入されたものを EVG-Type1と呼び、エンテロウイルスのゲノムのうち構造タンパクをコードする部分が欠落し、代わりにトロウイルスの一部が挿入されたものを EVG-Type2 と呼んでいる。 本研究では、まず、挿入された PLCP がタンパクとして機能できる状態で発現されるのかを明らかにしたいと考えている。 EVG_Type2 の全長配列を合成し、細胞内でレプリコンとして複製されるような状態を作ること、また PLCP をはじめとする EVG-Type2 の各種遺伝子がコードするタンパクの抗体を作成して細胞中の PLCP をはじめとしたタンパクがプロセッシングを受けているかどうかをウェスタンブロットで確認することを目指した。レプリコンに関しては、EVG-Type2 全長ゲノムに相当する塩基配列を PCR で合成することができた。しかし、細胞に導入するのに十分な量が得られておらず、プライマーの改変等を経て実験を継続中である。抗体に関しては、EVG-Type2 の各タンパクの一部に相当する合成ペプチドを外注しマウスの免疫に使用したが、残念ながら特異的な抗体が得られなかった。そこで、各タンパクのリコンビナントを培養細胞で作成してからリコンビナントタンパクでマウスを免疫する方法に切り替えた。現在はリコンビナントタンパクの合成を実施中である。 また、エンテロウイルスと共感染を予定しているブタのトロウイルスは難分離ウイルスであり現在も分離ができていないが、リバースジェネティクス法での入手の検討を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和4年度に実施するとしていた PLCP 等のタンパクのプロセッシングの確認について、材料となる EVG-Type2 のレプリコン用のDNA量が充分に揃っていないこと、確認用の抗体の作成が遅れていることより「遅れている」とした。これらは現在方法を改良するなどして実験を継続している。
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今後の研究の推進方策 |
まずはレプリコンの作成と抗体の作成に優先的に取り組む。続いてEVG-Type1とEVGの感染性及び増殖性の違いの検討に取り組む予定である。 研究終了までにブタトロウイルスをエンテロウイルスと共感染させる予定であるが、ブタトロウイルスはいまだウイルス分離された実績のない難分離ウイルスであり、現在も分離が叶っていない。ウイルス分離には継続して挑戦するが、リバースジェネティクス法を用いたウイルスの入手の検討も始めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
抗体の作成方法を変更し購入して済ますはずだった抗原を自作することにしたため、作成に時間を要していることもあり研究の進捗の遅れが支出の遅れにつながっている。学会発表も叶わなかったため旅費も使用しなかった。次年度は遅れを取り戻す予定であるが、新たに検討を始めたリバースジェネティクス法は時間がかかるため、最終年度まで遅れや使用額の不足が残る可能性もある。
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