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2023 年度 実施状況報告書

新規遺伝子操作系による組換えHBVを用いたHBV polymerase動態解析

研究課題

研究課題/領域番号 22K07087
研究機関大阪大学

研究代表者

和田 真実  大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (00722654)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードHBV RNA / pgRNA / HBV reverse genetics / polymerase / adenovirus
研究実績の概要

B型肝炎ウイルス(HBV)研究に用いられている実験室株は、主にHBVゲノムをコードしたプラスミドを肝細胞株に導入する方法や、HBVゲノムがインテグレーションした細胞株の上清を回収及び単離することで作製されている。しかしながら、それぞれのウイルス遺伝子が異なるフレームで重なってコードされているため、ウイルスの遺伝子操作が制限され、組換えウイルスの作製は大変困難である。ゆえに、汎用的なHBV遺伝子操作系の確立は、HBV研究を大きく進展させる可能性が高い。本研究では、ウイルス複製及び粒子形成に必須なウイルス転写産物の導入方法や容易な遺伝子操作方法を模索し、ゲノムまたは構造タンパク質に変異を持った組換えHBVウイルスの作製を可能とする新規遺伝子操作系の確立を目的とする。
以前の研究から、HBVゲノムの鋳型であるpgRNAから、カプシド化されたHBV DNAを検出することに成功しているが、培養上清中への産出は認められなかった。そこで、従来のリポソームによる細胞導入ではなく、pgRNAを高発現するアデノウイルスベクターを用いた導入方法でHBVの粒子産生を試みた。その結果、HBVのゲノムをコードしたアデノウイルスを感染させた細胞は、上清中にHBVゲノムを保持したHBV粒子を産出した。このことから、HBV感染モデルに応用できる変異型リコンビナントHBVを作製できることが示唆される。さらに、当研究室では、pol遺伝子にタグ挿入可能部位を見出している。その変異型pol遺伝子を載せたHBV pgRNAをアデノウイルスベクターを用いて肝細胞株へ導入したところ、感染細胞内で同等の複製効率を認めたため、培養上清中への変異型リコンビナントウイルス産生が期待できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

HBV粒子産生は長期間の培養や培養条件の制限が多く、in vitroでのウイルス複製効率も低いため、リコンビナントウイルスを獲得することが困難であった。その結果、一過性に転写産物を導入しても効率的な複製は認められなかった。このように、やや実験計画が遅れている理由として、様々な導入方法を模索したためである。しかしながら、アデノウイルスを用いることで、アデノウイルス感染細胞において大量のpgRNAを導入することに成功し、より効率的なHBVウイルス複製が認められた。上清中へのウイルス産生も同時に認められ、HBV感染モデルに応用できる変異型リコンビナントHBVを作製できることが期待される。

今後の研究の推進方策

本研究において、アデノウイルスベクターを用いてpgRNAを大量に肝細胞株へ導入することに成功し、感染細胞においてHBV複製が高効率に促されることを見出した。その結果、培養上清中にHBVゲノムを保持した粒子の産生が認められた。今後は、産出されたウイルス粒子解析を進めるとともに、変異型リコンビナントウイルスの産生にも着手する。また、当研究室では、pol遺伝子にタグ挿入可能部位を見出している。その変異型pol遺伝子を載せたHBV pgRNAをアデノウイルスベクターを用いて肝細胞株へ導入し、変異型リコンビナントHBV粒子の産生を試みる。そして、タグを用いてウイルス及びそのタンパク質を検出し、リコンビナントウイルスの有用性を示す。さらに、他のウイルス遺伝子改変にも焦点を当て、遺伝子改変可能な部位の候補を模索し、新たな変異型リコンビナントHBVの作製を試みる。

次年度使用額が生じた理由

消耗品として計上していた試薬の使用が実験上少なくできたため未使用額が生じた。
これは、様々な遺伝子導入方法を模索していた結果、偶発的なものであると考える。
次年度は大量のアデノウイルスの作製やリコンビナントウイルスの粒子解析が多くなると予想しているので、その費用に充てる。

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公開日: 2024-12-25  

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