研究課題
脂質代謝に影響を与える約30 種類の薬剤や化合物の抗SARS-CoV-2活性を解析した。その結果、核内受容体PPARγを阻害する薬剤 が、SARS-CoV-2に強い増殖阻害効果を発揮することが明らかとなった。また、SARS-CoV-2と同じベータコロナウイルス(β-CoV)に属するヒトコロナウイルスHCoV-OC43に対しても増殖阻害効果を示した。次にその類縁化合物を約10種入手し、β-CoV増殖阻害効果を解析したところ、同様の効果を示すものは無かった。この薬剤の作用は多岐にわたるため、その効果が脂質代謝への影響によるものであるかは、現在のところ不明である。今後、類縁化合物の結果とRNA複製小胞形成への影響、ウイルス増殖の抑制点などの解析から、β-CoV増殖阻害機構を明らかにする予定である。
2: おおむね順調に進展している
現在までにおよそ30種類の薬剤と化合物を解析した結果、β-CoV増殖阻害を示す1種の薬剤を得ている。これまでに抗CoV薬は複数報告されているが、阻害機構が明らかになっていない薬剤も多い。本研究で既に得ている1種の薬剤についても、そのβ-CoV増殖阻害機構の解析は十分でない。SARS-CoV-2のSタンパク質を持つ狂犬病ウイルス、VSV、センダイウイルスを作成して実験を行う。作成したウイルスを用いてワクチン接種者血清、感染患者血清、単クローン抗体(単独およびカクテル)からのエスケープ解析を行い、どのようなアミノ酸変異がSタンパク質の性質の変化を引き起こすのか明らかにする。
SARS-CoV-2のSタンパク質を持つ狂犬病ウイルス、VSV、センダイウイルスを作成して実験を行う。作成したウイルスを用いてワクチン接種者血清、感染患者血清、単クローン抗体(単独およびカクテル)からのエスケープ解析を行い、どのようなアミノ酸変異がSタンパク質の性質の変化を引き起こすのか明らかにする。
年度末納品等にかかる支払いが、令和6年4月1日以降となったため。当該支出分については次年度の実支出額に計上予定であるが、令和5年度分についてはほぼ使用済みである。
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Microbiol Immunol.
巻: 67 ページ: 204-209
10.1111/1348-0421.13052