研究課題/領域番号 |
22K07096
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
真田 崇弘 公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, 主任研究員 (60721272)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | B型肝炎ウイルス / HBs抗原 / HBV / ウイルス |
研究実績の概要 |
本研究では、HBV感染患者血中に大量に存在するHBs抗原によるHBV感染増強のメカニズムを解明し、HBVの高い感染力の機構解明を目的とする。 これまでの研究により、HBs抗原をHBVと混合したり、またあらかじめ肝細胞に処理することで、HBVの肝細胞への接着が増強されることを見出している。そこで、まずはHBs抗原と相互作用する細胞の因子の探索を試みた。その結果、HBs抗原の肝細胞への接着およびHBs抗原によるHBVの接着増強がヘパリンによって阻害されたこと、さらにはへパリナーゼIとへパリナーゼIII、いずれを肝細胞に処理しても、HBs抗原の肝細胞の接着は阻害されたことから、HBs抗原は肝細胞上のヘパラン硫酸を介して相互作用し、HBVの接着増強に関わっていることが明らかとなった。続いて、HBs抗原がHBVのウイルス粒子と相互作用するかについて解析を行った。ビオチン標識したHBs抗原とウイルス粒子を混合後、免疫沈降した結果、HBs抗原はウイルス粒子とも相互作用していることが明らかとなった。 以上の結果から、HBs抗原は肝細胞上のヘパラン硫酸およびウイルス粒子と相互作用していることが明らかとなり、HBs抗原が双方と相互作用することで、ウイルスと肝細胞との橋渡しの役割を担い、HBVの肝細胞接着を増強していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
HBs抗原と細胞、HBs抗原とウイルス、それぞれの相互作用についての解析を行うことができており、順調に研究は進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、HBs抗原が相互作用することで肝細胞やウイルスに与える影響について解析を進める。さらには、実験感染モデル動物を用いて生体内における解析も進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究室で既に所有していた試薬を用いて実験を行うなど、試薬の購入を予想より抑えることができたため。今後は、より詳細にHBs抗原と細胞、HBs抗原とウイルスとの相互作用についての解析を進めていく予定で、差額はそのために必要な試薬の購入に充てる。
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