研究課題/領域番号 |
22K07107
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
有田 峰太郎 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 室長 (70356244)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | エンテロウイルス / 宿主因子 / PI4KB / OSBP / 阻害剤 / 複製 |
研究実績の概要 |
宿主PI4KB/OSBP経路に非依存のポリオウイルス変異株には、4つの特徴的な変異(2B-Q20H、2B-F17L、2C-M187V 、および3A-R54W)が含まれていた。これまでの解析で、3A-R54W変異および2B-F17L変異の2つはPI4KB/OSBP経路に非依存なウイルス複製に必須であることが明らかにされている。残り2つの変異について解析を行なった結果、2B-Q20H変異は、3A-R54W変異および2B-F17L変異の存在下でのみ、宿主PI4KB/OSBP経路に非依存のウイルスの複製、産生および伝播を促進することが明らかになった。これまでの知見と合わせて、ポリオウイルスのPI4KB/OSBP経路への依存性が、3A-R54W変異→2B-F17L変異→2B-Q20H変異の順に獲得することで開放されるという、高次元のエピスタシスが存在することが判明した。一方で、2C-M187V変異は、これらの変異の存在下でウイルスの複製を抑制した。そのため、2C-M187V変異のPI4KB/OSBP経路非依存なウイルス複製における直接的な関与ははっきりしなかった。また、これらの変異を持った変異株はPI4KB阻害剤を同定する上で有用であることが明らかにされた。 nanoBiTシステムを利用して、PI4KBとウイルスタンパク2B, 2BCとの相互作用の解析を行ったが、MTHによる解析結果と異なり、2B, 2BCとPI4KBの相互作用が検出されなかった。タグの挿入位置はMTHと同様だったため、タグそのものの性質が相互作用の検出に影響した可能性があると考えられた。そのため、今後タグなしのウイルスタンパクを高発現する細胞を作成して、相互作用の解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
nanoBiTシステムで相互作用が検出されなかったが、タグなしのウイルスタンパクを高発現する細胞を作成して、相互作用の解析を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
nanoBiTシステムで相互作用が検出されなかったが、タグなしのウイルスタンパクを高発現する細胞を作成して、相互作用の解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末納品等にかかる支払いが、令和6年4月1日以降となったため。当該支出分については次年度の実支出額に計上予定であるが、令和5年度分についてはほぼ使用済みである。
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