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2023 年度 実施状況報告書

ウイルス由来ノンコーディングRNAの代謝生理を利用した新規診断治療、DDSの開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K07109
研究機関国立感染症研究所

研究代表者

片野 晴隆  国立感染症研究所, 感染病理部, 室長 (70321867)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワードウイルス / マイクロRNA
研究実績の概要

カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV、または、ヒトヘルペスウイルス8、HHV-8)はカポジ肉腫やprimary effusion lymphomaなどの悪性腫瘍に関連するウイルスであり、その遺伝子内に約20種類程度のmiRNAをコードしている。我々はこれまでの研究で、KSHVがコードするmiRNAのうち、miR-K3が感染細胞で高発現していることを見出している。昨年度までにレンチウイルスベクターでmiR-K3を強発現させると、細胞内で、細胞増殖に係るシグナル伝達系の活性化を誘導することが明らかにされた。本年度はprimary effusion lymphoma細胞株などのKSHV持続感染細胞株、及び、miR-K3を導入した細胞からRNAを抽出し、RNAseqを行った結果を再解析し、miR-K3の発現により誘導される宿主側のRNA群、シグナル伝達系を同定した。おおくの細胞増殖、サイトカイン、ケモカイン誘導因子、あるいは血管新生に関わるカスケードが同定され、これには昨年度に得られたシグナル伝達系も含まれていた。JCポリオーマウイルス(JCV)について、JCVが昨年度に行った遺伝子導入感染実験系において新たに同定されたJCVのRNA転写物について、long readの次世代シークエンサーによる解析を行ない、JCV遺伝子の一部が繰り返しコードされる特異な形式のRNAであることがわかった。しかも、このような転写物は一つではなく、複数の同様の構造を持つ転写物がJCV感染細胞では発現していることを見出した。タンパクが翻訳されるかなど、本転写物の意義は不明であり、さらなる解析が必要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

次世代シークエンサーによる解析でmiR-K3の発現により活性化すると同定されたシグナル伝達系は細胞増殖やサイトカイン発現に重要な系であり、KSHVによる腫瘍形成で重要な役割を果たしている可能性がある。次世代シークエンサーのデータはヒトmiRNA, mRNAも含んでおり、今後さらに宿主側の因子の解析も可能である。

今後の研究の推進方策

miR-K3導入実験により今回同定されたシグナル伝達系がKSHVの腫瘍形成にどのような働きをするか、in vitroの実験系で確認が必要である。また、miRNAの一部は特定の配列によりエクソソームに運ばれ放出、分解されることから、その分解機構の解明と、miRNAをターゲットとした新しい薬剤の開発を目指す。JCVの感染細胞から得られたあらたな転写物は新規のものであり、機能的な解析がなされていない。可能であればクローニングを行い、細胞導入実験などを行い、機能の解明を行う。

次年度使用額が生じた理由

KSHV感染細胞のRNAseq解析結果から、予定していたことよりも新しい知見、成果が得られ、これらを確認するための追加実験等が必要であった。翌年度もここで新たに同定されたシグナル伝達系についての確認実験を予定しており、これらの費用を翌年度に持ち越された。翌年度にこれらの実験を行い、その費用を使用する。

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公開日: 2024-12-25  

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