研究課題/領域番号 |
22K07114
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
室 龍之介 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任助教 (80761262)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | TCRレパトア |
研究実績の概要 |
胸腺はT細胞の分化を支持することができる唯一の臓器であり、T細胞の抗原認識能を決定する。T細胞受容体(TCR)の多様性形成には、胸腺皮質上皮細胞(cTEC)が提示する胸腺固有の自己ペプチドが重要である。しかし、技術的限界から胸腺固有の自己ペプチドの正体は未同定のままであり、それらが制御するT細胞の特徴も不明である。本研究では、 TCRレパトア解析法により、CD8 T細胞が胸腺で分化するためのTCRのアミノ酸配列の法則を導出・検証し、胸腺固有の自己ペプチドの性質を解明することを目的とした。前年度に実施したTCRレパトア解析から、胸腺固有のペプチド生成に必須の因子b5tの欠損により、明らかなTCR多様性の変化が認められた。本年度は、MHC結合ペプチドの認識に直接関与するTCRのCDR3領域の各種アミノ酸について検討した。その結果、b5t依存的に分化するCD8SP細胞のTCRには、電気的な偏りがあることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
情報解析により、胸腺固有のペプチドが制御しうるTCRの特徴をアミノ酸の性質から導出するできる可能性が示された。このようなTCRのアミノ酸の性質に関する知見を蓄積することで、MHCに提示されるペプチドの特徴を予測することが可能となる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに蓄積されたデータを活用し、胸腺固有ペプチドの同定に向けた試みを継続する。また、b5t欠損により、TCRレパトアが大きく変化したことからも、免疫応答を評価する必要が生じた。これまでに、b5t欠損マウスを用いてインフルエンザウイルスに対する感受性評価は行われてきたが、TCRクローン単位の解析は実施されていない。古典的な免疫手法に加え、近年高い注目を集めるmRNAワクチンに対する応答を評価することで、胸腺固有ペプチドの免疫学的意義をより詳細に追求する。
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