現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
患者由来のPh+BCP-ALL検体を高度免疫不全マウス(NSG)に移植し、ヒト患者腫瘍組織移植モデル(PDX)を作製後、増殖したPh+BCP-ALLを骨髄より採取し、IKZF1上でDNA結合部位をコードしているExon5(E5)をCRISPR/Cas9ゲノム編集技術を用いて欠損させた。DNA結合部位を欠損したIKAROSはドミナントネガティブ型として作用することが今までのマウスを用いた研究で知られており、ヒトにおいては、ドミナントネガティブ型の発現がPh+BCP-ALL発症および難治化と相関関係がることが知られている。フローサイトメトリー解析により、変異型マウスの骨髄B細胞(CD19+)では未分化B細胞マーカーであるCD10の発現が低下していることが認められた。CD10はベクターのみを導入したコントロール(WT)5検体、およびIKZF1変異型のPDX由来Ph+BCP-ALL (CD19+)骨髄サンプル8検体に対して集団レベルのmRNA-seq(Illumina)を行った。予備実験では野生型2検体、IKE5変異型3検体を用いて解析を行ったが、新たに野生型2検体、変異型5検体を追加した。予備実験では、474、478の遺伝子でそれぞれ発現上昇、発現低下が見られ、これらのうち、IKZF1変異型によるヒトとマウスモデルで共通に発現上昇が見られる遺伝子としてはABCA1, IL10RA, VCL1, HOXB7, RASGRP3, IKZF1、共通に発現低下が認められた遺伝子としてはリンパ球分化に重要な役割を果たすIL2RA, RAG1, TNFAIP3, SELLなどがあげられたが、現在、新に得られたデータを合わせて詳細に比較解析を行っている。
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