研究課題/領域番号 |
22K07159
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
原 敏文 愛知学院大学, 薬学部, 講師 (80456219)
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研究分担者 |
武井 佳史 愛知学院大学, 薬学部, 教授 (70362233) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | スキルス胃癌 / 転移 / メチル基転移酵素 |
研究実績の概要 |
癌患者の死の主要な原因は癌の転移である。申請者はスキルス胃癌の転移に注目し、これまで研究を進めてきた過程において、癌の悪性化に伴い発現増加する遺伝子として新たにメチル基転移酵素METTL27を見出した。METTL27は、メチル基転移酵素ファミリーに属する遺伝子であるが、その機能については、これまで報告されていない。そこで、申請者らは、METTL27が癌の悪性化に関わっているのか、また細胞内分子としてMETTL27はどのような機能を有しているのかについて解析を開始した。 まず、METTL27が細胞の発癌過程においての重要性を調べるため、スキルス胃癌をはじめ、多種の癌患者および癌細胞株の公共データを解析した。その結果、METTL27は多くの癌細胞において発現増加することが確認されるとともに、METTL27の発現増加に伴って癌患者の予後が悪いことが明らかとなった。これら結果は、METTL27の発現が癌の悪性化に相関していることを示唆する。これらデータを検証するため、これまでにスキルス胃がんの転移細胞モデルとして用いてきた細胞株におけるMETTL27のRNAレベルを正常の胃組織から抽出されたRNAを用いて検討した。その結果、細胞株でのMETTL27の発現は正常組織に比べ、有意に発現増加するとともに、一部の細胞株では癌の転移能上昇に伴い、METTL27は発現増加していた。これら結果は、タンパク質レベルでも確認することができた。次に、転移細胞モデルを用いて、ゲノム編集によるMETTL27ノックアウト細胞株の樹立を行った。その結果、一部の細胞株でMETTL27ノックアウト細胞株が樹立できた。概ね研究実施計画通りに研究を実施することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記載した初年度の研究項目を実施した。しかし、タンパク質レベルでMETTL27の発現を調べるため、Anti-METTL27抗体を用いたウェスタンブロッティングを行ったが、非特異的なバンドが多く、正確なMETTL27の発現量を調べることができなかった。そこで、複数回の抗体変更を行った結果、ウェスタンブロッティングでMETTL27特異的なバンドを検出できる抗体を見出した。この抗体の検討に時間を要したが、ほとんど予定通り研究項目を実施できた。一部、まだ樹立できていないMETTL27ノックアウト細胞株がある。しかし、ウェスタンブロッティングの問題が解決したため、次年度の早い段階で細胞株を樹立して、次年度の研究項目に取り組む予定である。
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今後の研究の推進方策 |
上記で記載した通り、まだ樹立できていないMETTL27ノックアウト細胞株があるので、次年度の早い段階でMETTL27ノックアウト細胞株の樹立を行う。もし、METTL27ノックアウト細胞株が樹立できない場合には、METTL27ノックダウン細胞株を用いて、研究項目を実施する予定である。METTL27ノックダウン細胞株は、既に樹立済みである。
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次年度使用額が生じた理由 |
ウェスタンブロッティングに用いる抗体の検討を複数回行った。輸入商品である抗体があり、抗体が到着するまでに発注から1ヶ月以上の時間を要することがあった。そのため、次の実験に遅れが多少出て、次年度に研究を一部持ち越した。ただし、すでに問題は解決していることから、次年度の早期から研究を実施していく予定である。
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