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2023 年度 実施状況報告書

INK4遺伝子座から転写される新規長鎖ncRNAの癌抑制作用機構と生理機能の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K07160
研究機関近畿大学

研究代表者

神武 洋二郎  近畿大学, 産業理工学部, 教授 (90531963)

研究分担者 若崎 高裕  近畿大学, 医学部, 講師 (10608871)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード長鎖ノンコーディングRNA / 癌抑制遺伝子 / 細胞周期
研究実績の概要

本研究では、我々が発見した新規長鎖ノンコーディングRNA, ANROCによる細胞増殖抑制機構を明らかにし、さらにANROCが生体内で癌抑制遺伝子として機能しているか、その生理機能を明らかにすることを目的とする。本年度研究の結果、過酸化水素添加による早期細胞老化誘導時に、ANROCをノックダウンすると、早期細胞老化が抑制されることが明らかとなった。このことから、ANROCは早期細胞老化誘導に関与することが考えられた。ANROCが存在するINK4遺伝子座には、細胞老化誘導遺伝子であるp16が存在する。このINK4遺伝子座が欠損した細胞は、癌化シグナルによる早期細胞老化が起きないことが報告されている。本研究の結果から、ANROCはp16同様に細胞老化誘導遺伝子であることが考えられた。さらに細胞老化誘導時にANROCをノックダウンすると、細胞老化誘導に必要であるCDKインヒビターp21の発現量が顕著に減少することが明らかとなった。以上、本研究の結果から、ANROCはCDKインヒビターp21の転写活性化を介して、細胞老化誘導に寄与することが考えられた。これまでに細胞老化誘導に寄与する長鎖ノンコーディングRNAに関する報告はほとんどない。本研究から得られるANROCの細胞老化誘導における機能に関する知見は、癌生物学研究分野において新しい概念を提唱し得るものと期待される。今後は、ANROCによるp21転写制御機構の解明と、ANROCが個体の老化に関与するかを検証することが重要な課題である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度は、ANROCが細胞老化に関与することを明らかとし、その作用機序の一部まで明らかとしたことから、ANROCの細胞機能の解明が大きく前進した。しかし、まだ生理機能の解明までは踏み込めていないことから、進捗状況はやや遅れていると判断した。

今後の研究の推進方策

今後は、ANROCによるp21転写制御機構の解明と、ANROCが個体の老化に関与するかを検証する予定である。これまでに、長鎖ノンコーディングRNAが臨床応用された例はない。本研究の結果、ANROCは癌抑制遺伝子である可能性が高いと考えられる。今後は、臨床病理学的解析により、ANROCが癌診断バイオマーカー候補になりうるかを検証する予定である。

次年度使用額が生じた理由

臨床検体を用いて、ANROCががん抑制遺伝子として機能するかを検証する予定であったが、当初予定した計画通りに臨床検体が集まらなかったため、解析できず、次年度使用額が生じた。翌年度分として請求した助成金と合わせて、次年度は臨床検体を用いたANROCの発現解析と細胞株とマウスを用いた機能解析を行う予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Histone H1.2 Represses the Transcription of the p16 Tumor Suppressor Gene.2023

    • 著者名/発表者名
      Yojiro Kotake, Yoshinobu Tanigawa, Ryoka Tarumi.
    • 雑誌名

      Anticancer Research.

      巻: 48(8) ページ: 3441-3446

    • DOI

      10.21873/anticanres.16519

    • 査読あり
  • [学会発表] The cell cycle regulation by long noncoding RNAs.2023

    • 著者名/発表者名
      Yojiro Kotake, Yoshinobu Tanigawa, Ryoka Tarumi, Takahiro Wakasaki.
    • 学会等名
      The 30th FAOBMB & 8th BMB Conferenc
    • 国際学会
  • [学会発表] 長鎖ノンコーディングRNA,OIP5-AS1による癌細胞増殖制御機構の解明.2023

    • 著者名/発表者名
      谷川由信, 若崎高裕, 神武洋二郎.
    • 学会等名
      第60回化学関連支部合同九州大会
  • [学会発表] レスベラトロール誘導体による癌細胞増殖抑制効果の検証と作用機序の解明.2023

    • 著者名/発表者名
      樽見 涼花, 谷川由信, 神武 洋二郎.
    • 学会等名
      第60回化学関連支部合同九州大会

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公開日: 2024-12-25  

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