研究課題/領域番号 |
22K07166
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
服部 憲史 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (70744051)
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研究分担者 |
林 真路 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (70755503)
猪川 祥邦 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (80772863)
田中 晴祥 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (80793504)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 膵癌 / mutation / DNA付加体 / BPDE |
研究実績の概要 |
膵癌発癌の危険因子とされている糖尿病・肥満・慢性膵炎・喫煙・大量飲酒などの「後天的な要因」に導かれた特定の癌原物質は、細胞内・核内に取り込まれてDNAに結合しDNA付加体を形成することが知られており、これが疾患特異的なゲノム変異を誘発して「遺伝子異常」を形成することが考えられる。本研究の目的は、膵癌症例におけるDNAアダクトーム(DNA付加体)解析・同定を試みることである。 比較的発生頻度の高い地域(地域A)と低い地域(地域B)を同定することに難渋しているため、質量分析機器による解析に提出することを今年度は見送ることにした。引き続き地域の分割方法について継続検討する一方で、膵癌の危険因子の一つとされている喫煙にfocusし、たばこに含まれる発癌物質の一つとされているベンゾピレンジオールエポキシド(BPDE)の含有量を膵癌組織40検体から抽出したDNAを用いてELISA法で測定し、その臨床病理学的特徴を検討するとともに、喫煙による特徴的な遺伝子変異発生の傾向を、本邦のC-CATデータベースを用いて検討した。 前者については、BPDE高値群でリンパ節転移陽性群を多く認め、リンパ管侵襲や神経浸潤傾向も多い傾向を認めた。一方で既知の腫瘍マーカーとの明らかな相関は認めず、これらとは独立した膵癌悪性度を反映する指標としての可能性が考えられた。後者については、肝胆膵領域癌で喫煙者に有意に多く変異がみられる遺伝子群が同定でき、またこのうち変異の有無が予後に影響する遺伝子も認めた。現状ではDNA付加体と遺伝子変異との間の相関は確認できていないため、今後BPDE高値の膵癌症例分布も加味しながら、LC-MSに提出する検体群を絞り、同時にシークエンス解析も行って相互の関係を確認することにしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
発生好発部位の同定に難渋している。関連病院の所在地に大きく影響を受けており、明らかな傾向が見いだせない。山間部と平野部のような大きな切り口で分類する必要があると考えている。 組織検体は十分に回収しているが、上記理由からLC-MSへの検体提出を先送りすることとした。この間に予備実験として既報の有力物質であるBPDEを試験的に組織検体で測定し、興味深い結果を得たが、今後LC-MSとその結果を反映させての、シークエンシング、動物実験が控えており、実験の進捗はやや遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
LC-MSに提出する検体を絞り込むために、いまいちど膵癌症例の地域分布の分類を再考する。来年度中にLC-MSを施行してDNA付加体候補を絞る。今回検討したHPDEも有力な候補の一つになると考えている。さらに、DNA付加体高値群と低値群で、シークエンス解析を行い、それにより引き起こされる遺伝子異常に差が出る部分の同定を行う。3年目の動物実験に向けて、基礎データの蓄積を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
発生好発部位の同定に難渋しており、LC-MSへの検体提出を先送りしたため、次年度使用額が生じた。DNA付加体候補を絞り込むためのLC-MS施行の委託費用に使用する。
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