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2023 年度 実施状況報告書

DNA付加体の同定による膵癌発癌メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K07166
研究機関名古屋大学

研究代表者

服部 憲史  名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (70744051)

研究分担者 林 真路  名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (70755503)
猪川 祥邦  名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (80772863) [辞退]
田中 晴祥  名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (80793504)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード膵癌 / mutation / DNA付加体 / BPDE
研究実績の概要

DNA付加体のうち、石油やたばこの煙、排気ガスに含まれるbenzo(a)pyrene diol epoxide (BPDE)に引き続き注目し、実際の遺伝子複製異常の発生を網羅的SNP解析で検証した。BPDEへの曝露がC>A(G>T)の遺伝子変異に関わる頻度が高いとされている。
膵切除コホートにおいて組織中のBPDE濃度が高値であった4例と低値であった4例を選択した。この際、年齢・術式、切除可能性分類など、可及的に背景をそろえた。各膵癌組織検体からDNAを抽出し、網羅的SNP解析に提出した。その結果、高値群ではNOTCH3のc.6668 C>Tのmissense変異が4例中3例にあり、TP53のc.215 C>Gのmissense変異が4例中2例に、さらにGene Xのc.2836 G>Tのmissense変異が4例中2例に認められた。BPDE低値群ではそれぞれ1例、1例、0例にしか認められなかったため、BPDE高値で起こりやすい変異遺伝子の候補であると考えられた。
BPDE高値はp53タンパクの過剰発現に関与することが報告されている。本研究の術前化学療法施行膵癌症例コホートにおいてBPDE高値は、術後病理学的リンパ節転移陽性率が有意に高く、術後全生存率が不良の傾向を認めた。これもBPDE曝露がきたす遺伝子変異が術前治療抵抗性に関与して起こる事象である可能性が想定された。
これらのmissense mutationをきたしやすい遺伝子群について、膵癌細胞株を用いて抗癌剤感受性に関与するかどうかの検討を現在施行している。また、今回BPDE高値症例の分布は年齢、性別、肥満の有無、喫煙、飲酒、人口密度の高低など患者背景因子に差を認めなかったが、他のadductomeについても検証を進めることを考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

BPDEが腫瘍悪性度や術後予後に影響するadductomeであることが想定されたため、この分子についての膵癌悪性度に関わる詳細を検討した。BPDE測定検体コホートについてはサイズアップし検討を進めている。

今後の研究の推進方策

当初は、DNA付加体の高曝露地域と低曝露地域での比較を行うことを想定していたが、代表的なDNA付加体であるBPDEにおいても、患者背景と有意に結び付けられる因子が確認できていない。コホートサイズを増やしてさらに検討を進めるが、むしろBPDEがどのように細胞内の遺伝子異常にかかわるのかについて、詳しいメカニズムや再現性を確認することに注力したいと考えるに至った。有力な相関するSNPをvalidation cohortでも確認すること、そのSNPと癌の悪性度や抗癌剤耐性との相関を検討することを進める。また他の有力付加体について、同様の検討も行い、少なからず存在する有力なリスク因子を持たない症例の膵癌発癌について知見を得ることを目的として実験を進める。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 切除膵癌組織に含まれるDNA付加体濃度の測定と術前治療効果予測2024

    • 著者名/発表者名
      林 真路,大津智尚,髙見秀樹,猪川祥邦,栗本景介,中川暢彦,服部憲史,神田光郎,田中千恵,中山吾郎,小寺泰弘
    • 学会等名
      第56回制癌剤適応研究会
  • [学会発表] 膵癌におけるDNA付加体の検討2023

    • 著者名/発表者名
      林 真路,髙見秀樹,猪川祥邦,栗本景介,中川暢彦,大津智尚,服部憲史,神田光郎,田中千恵,中山吾郎,小寺泰弘
    • 学会等名
      第61回日本癌治療学会学術集会

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公開日: 2024-12-25  

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