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2022 年度 実施状況報告書

大腸癌におけるエピゲノムを標的とした新規治療法開発と免疫回避機構阻害への応用

研究課題

研究課題/領域番号 22K07170
研究機関大阪大学

研究代表者

波多 豪  大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (80749747)

研究分担者 植村 守  大阪大学, 大学院医学系研究科, 講師 (10528483)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードBRD9
研究実績の概要

大腸癌薬物療法においてエピゲノム治療の研究が進められる中、エピゲノムリーダーであるブロモドメイン蛋白質に対する阻害薬が次世代抗癌剤として注目されている。2018年に、クロマチン再構築因子であるSWI/SNF複合体のBAF、PBAFに次ぐ3つ目のサブタイプとしてnon-canonical BAFが新たに報告され、その構成因子であるブロモドメイン蛋白質のBRD9は、新規治療標的となる可能性のある分子として期待されている。ncBAFはクロマチンの三次元構造を調節するCTCFと結合することが報告されており、クロマチン構造を変化させ、遺伝子発現制御を行なっている。近年、BRD9は腫瘍免疫との関連性も報告されているが、大腸癌との関連性を明らかにした報告はまだない。大腸癌におけるBRD9の発現意義を明らかにし、BRD9阻害が大腸癌に対する治療標的となる可能性があると考え、研究を計画した。
当院切除検体を用いた免疫染色、染色強度と各症例の臨床病理学的因子の比較検討、統計解析を進め、BRD9が大腸癌の予後マーカーとなる可能性について示した。また、細胞実験としては、ノックダウン株を作成し、それぞれの細胞株における大腸癌腫瘍悪性度との関連性について検討した。下流分子の同定については、網羅的解析の結果、候補遺伝子をいくつか選定した。候補分子とBRD9とCTCFの関連性については、既存のデータベースと照らし合わせながら、今後の具体的な実験計画について検討を進めている。その結果によって、BRD9が大腸癌で担う機能解析について、今後引き続き詳細の検討を進めていくこととなる。

現在までの達成度
現在までの達成度

2: おおむね順調に進展している

理由

大腸癌におけるBRD9の発現意義を明らかにするために、当院での大腸癌切除検体を用い、免疫組織化学染色を行なった。細胞質、核の染色パターン、および染色強度と大腸癌の悪性度、さらには予後との関連性について現在解析を行なっている。統計解析においては、単変量、多変量解析を行い、臨床病理学的因子との関連性を検証中である。細胞実験においては、数種類の大腸癌細胞株を用い、BRD9のノックダウンモデルを作成した。siRNAによる一過性のノックダウン、shRNA plasmidDNA導入による安定ノックダウン株を作成した。それぞれの細胞株において、増殖、浸潤などの細胞実験を行い、BRD9が大腸癌の悪性度に関連性を持つことを示した。下流分子の同定については、網羅的解析の結果、候補遺伝子をいくつか選定した。候補分子とBRD9とCTCFの関連性について、オンラインで入手可能なデータベースと照らし合わせながら、絞り込みを行なっている。当初予定していた研究進捗を大きく外れずに進でおり、「おおむね順調に進展している」と考えられる。

今後の研究の推進方策

大腸癌においてBRD9が担う機能について明らかにすべく、網羅的解析としてRNAシーケンスへ提出し、下流分子、および変動するパスウェイの同定を進めていく。BRD9がncBAFの一員として、その他SWI/SNF構成因子との関連性がどのように変化するのかについて、免疫沈降法などを用いて解析する。さらに、in vivoでも細胞実験と一貫する結果が得られるかについて確認し、既存のBRD9阻害薬を用いて、腫瘍抑制効果が得られるのかを検証する。

次年度使用額が生じた理由

本年度に当初予定していた本実験に関わる費用を下回ったため、当該助成金が生じた。次年度、タンパク実験(ウェスタンブロッティングや免疫沈降法など)に関わる抗体、試薬、その他細胞実験に関連する物品、試薬などを中心に支出することを計画している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 大腸癌におけるブロモドメイン含有蛋白質BRD9の発現意義の解明2022

    • 著者名/発表者名
      知念 良直, 波多 豪, 関戸 悠紀, 荻野 崇之, 三吉 範克, 高橋 秀和, 植村 守, 山本 浩文, 江口 英利, 土岐 祐一郎
    • 学会等名
      第122回日本外科学会定期学術集会

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公開日: 2023-12-25  

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