研究課題/領域番号 |
22K07174
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
清水 康平 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 助教 (70727073)
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研究分担者 |
徳永 文稔 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 教授 (00212069)
塩田 正之 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (30381990)
魏 民 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (70336783)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ユビキチン / プロテアソーム / プロテオスタシス / がん / Skp2 |
研究実績の概要 |
Skp2は複合体型のユビキチンリガーゼ(E3)の中で最大のファミリーを形成するSCF複合体の基質認識サブユニットの一つであるが、その主要な生理機能として、p27やp21に代表される細胞周期抑制因子をユビキチン-プロテアソーム系(UPS)にて分解することにより、正常細胞では適切な細胞周期の進行を担っていることが挙げられる。多くの悪性腫瘍ではSkp2の過剰発現が認められ、無秩序な細胞増殖を促進するがん化の重大な原因の一つと考えられている。また、Skp2は細胞周期抑制因子の他、アポトーシス誘導タンパク質群の転写因子や細胞間接着分子を基質に持ち、これらの過剰な分解を介して化学療法抵抗性や転移など、がんの悪性化にも深く関与している。 本年度は、Skp2の新規結合タンパク質として同定したE3について、がん抑制因子としての可能性を検討した。まず、ゲノム編集技術により当該E3を欠失させたメラノーマや乳がん、骨肉腫細胞株を作製し、それらの細胞内ではSkp2が蓄積してSkp2基質が減少することを確認した。これまでにHEK293T細胞を用いた過剰発現解析により、当該E3はSkp2のUPS依存的分解を誘導することを見出していたが、種々のがん細胞においても同様のプロテオスタシス制御系が機能していることが強く示唆された。また、いくつかのがんで当該E3の酵素活性を消失させ得る変異が同定されていたことから、同変異体を作製し、Skp2に対する分解誘導能の検討を行った。その結果、変異体はSkp2を全くユビキチン化できず、分解誘導能が欠失していることが明らかとなった。さらに、当該E3の野生型及びE3活性欠失変異体を再構成したがん細胞株を作製し、がん抑制因子としての機能を比較検討したところ、野生型E3は細胞増殖を抑制し、遺伝毒性感受性を上昇させることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に予定していた生化学・細胞生物学的解析が概ね終了し、次年度に予定していたゼノグラフトモデルの予備検討に着手することができた。
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今後の研究の推進方策 |
初年度は当該E3のがん抑制機能について細胞レベルで示すことができた。今後は予定通り、マウス個体レベルさらには臨床検体レベルにて当該E3がSkp2のプロテオスタシス制御を介してがん抑制に寄与しているか検証を進める。
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