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2023 年度 実施状況報告書

がんと概日リズムの関連より同定したRBによる新規標的制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K07197
研究機関関西医科大学

研究代表者

三木 貴雄  関西医科大学, 医学部, 講師 (30452345)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードがん抑制遺伝子 / 概日リズム / RB
研究実績の概要

近年の免疫チェックポイント阻害薬の成功は、多角的な視点からがん研究を行うことが有用であることを示唆している。興味深いことに、がんと概日リズムは疫学的に強い関連があることが国際がん研究機関(IARC)より指摘されているが、その分子機構に関しては不明な点が多く、未開の分野である。本研究課題では、「がんと概日リズムという新たな視点から、未同定のがん制御機構や概日リズム制御機構を同定することができるのではないか」と考え、研究を推進している。
本研究では、これまでにがんと概日リズムがクロストークする分子機構を明らかにしてきた結果(EMBO J. 2012, Nat Commun. 2013, Sci Rep. 2016)を基盤として、概日リズムの制御因子としてのヘムに着目した。これまでの報告で、ヘムタンパク質の補欠分子族であるヘムは概日リズム遺伝子PER2やREV-ERBsのリガンドとなりその活性を制御することが報告されている。最近では、がん抑制タンパク質Rbの遺伝子欠損マウスではPER2のヘム結合が過剰となり、概日リズムが異常となることを見出している。この結果は、Rbが標的とヘムの結合を変化させることで標的の機能を制御し得ることを示唆している。そこでRbによるヘム制御が、これまで報告されているRbによる細胞周期や細胞分化、代謝といった標的制御機構にどれほど寄与しているかを、網羅的遺伝子発現解析法(CAGE法)を用いて検討した。その結果、Rb経路の約3割がヘムを介して制御されている可能性を示唆するデータを得た。そこで本申請では、CAGE法により得られた網羅的結果を詳細に解析し、Rbによるヘムを介した標的制御経路を同定し、がんの創薬につなげることを目的とし、研究を推進している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では肝臓特異的Albumin-Cre;Rbfloxマウスを用い。ヘム経路の阻害剤であるCobalt protoporphyrin IX(CoPP)とDiethylnitrosamine(DEN)を腹腔内投与することにより、RBとヘムが関連するタンパク質の同定が可能な系の樹立を行った。その結果、マウス肝臓の遺伝子発現解析により、RB欠損による遺伝子変化がCoPPによりレスキューされている遺伝子群を得ることができた。さらに、その遺伝子群の中から、ヘムを結合し得るタンパク質を同定したため、そのタンパク質について詳細に解析した。
ヘム結合タンパク質にはヘム結合モチーフと呼ばれるCP配列がしばしば存在することが報告されているので、その配列に変異を入れた時にヘム結合能が変化するかどうかを精製タンパク質を用いて検討した。その結果、CPモチーフに変異を導入することで、ヘムの結合が減少する変異体を得ることができた。次に、これらのヘムに結合しない変異体を用いて、翻訳後修飾の変化や、既存の標的タンパク質などに対する結合への影響を検討した。その結果、ヘムに結合しない変異体では、翻訳後修飾や、タンパク質複合体形成能に異常が見られることを明らかにした。

今後の研究の推進方策

現在までに、マウス発がんモデルを使用し、肝臓特異的にRBを欠損させたマウス(Albumin-Cre;Rbflox)とヘムの合成阻害剤(Cobalt protoporphyrin IX)を組み合わせることにより、RBの新たな標的因子の同定が可能な系の樹立に成功した。このアプローチにより、ヘムと関連した新たなRB関連タンパク質を同定するに至ったため、今後はその機能解析を行っていく計画である。
さらに、今回の研究では、これまでにヘムタンパク質としては報告されていないが、ヘムを結合し得るタンパク質を同定した。この結果は、以下の2点で重要である。
①現在までに報告されていない新規ヘム結合タンパク質が存在する可能性を示唆している。
②RbがPER2のみならず他の制御因子のヘム結合量を制御することができる。
今後の研究推進方策として、得られたヘム関連遺伝子のノックアウトマウスを作成し、Albumin-Cre;Rbfloxマウスと掛け合わせることにより、RBとの同時欠損マウスを作成する。また、このマウスを用いて、Diethylnitrosamine(DEN)を腹腔内投与することにより、肝臓がんを誘発させた時に、RBとヘム結合タンパク質がどの程度がん形成能に影響を与えるかどうかを組織染色法やqPCR法、ウエスタンブロッティング法を組み合わせて検討する計画である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 備考 (1件)

  • [備考] 講座紹介 薬理学講座

    • URL

      http://www3.kmu.ac.jp/pharmac/

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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