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2023 年度 実施状況報告書

難治性乳がんに対する変異p53依存的悪性化・転移機構に対する分子基盤の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K07205
研究機関千葉大学

研究代表者

中山 哲俊  千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (10835226)

研究分担者 田中 知明  千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (50447299)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード変異p53 / メバロン酸合成経路 / がん悪性化形質 / 難治性乳がん
研究実績の概要

変異p53による乳がん悪性化機構に、鍵分子を介したメバロン酸合成経路によるSmall G タンパク質の活性化とそれによりもたらされるフィロポディアの関与が示唆された事から、今年度はまず異なるp53ステータスを持つMDA-MB-231乳がん細胞株に対して、生細胞でアクチン繊維を可視化することが出来るLifeact-GFP発現細胞株を作成しIn vivoでの検討を行った。その結果、変異p53はIn vivoにおいても増殖・転移と関連が認められ、In vitroと同様にIn vivoでも変異p53存在下でフィロポディア様の形態を確認することができた。このことから変異p53とフィロポディア、悪性形質の関連を明らかにすることができた。また、scRNA-seq解析を更に進めたところ、特定のクラスターが悪性形態に関与していることが示唆された。更に、Small G タンパク質、特にRAC1、CDC42に関して活性化フォームであるGTPフォームを確認したところ、悪性形態でGTPフォームが増加していることを確認した。また、ノンターゲットプロテオミクスの解析も更に進め、遺伝子発現以外の観点からSmall Gタンパク質の下流で悪性形質をもたらす分子群の同定を行った。その結果いくつかの分子が同定され、その中でLLGL scribble cell polarity complex component 2(LLGL2)に着目し現在検討を行っている。まず、LLGL2ノックアウト細胞株を作成し検討を行ったところ、悪性形質の抑制を確認した。以上から変異p53は鍵分子を介してメバロン酸合成経路を活性化しSmall G タンパク質を活性化しLLGL2を制御し乳がんの悪性化をもたらしている可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

一連の研究で現在までに新規に見出した鍵分子が変異p53とメバロン酸合成経路を繋ぎ、変異p53による乳がん悪性化の重要なファクターになるという発見に至っている。更にその分子機構として、Small G タンパク質を介したフィロポディアの関与が示唆された。それらを更に強固にする知見としてLifeact-GFP発現細胞株を作成し、それによりIn vivoでの変異p53とフィロポディアの関係性を確認することが出来た。また、悪性形質ではSmall G タンパク質が活性化されていることも確認でき、更にその下流の因子としてLLGL2を見出した。LLGL2の発現が鍵分子とSREBP2をそれぞれノックアウトしたMDA-MB-231細胞株で大幅に減少していることを確認している。このことから鍵分子、SREBP2を介したメバロン酸合成経路によってLLGL2が制御されていることが確認できた。

今後の研究の推進方策

scRNA-seqを用いた今回の検討で悪性形態に関与している特定のクラスターを見出したが、このクラスターに関して更なる解析を進める。特にGene Ontology解析などを用いることでFilopodiaやMigrationに関係する遺伝子やPathwayが関与しているかを検討する。更に、見つかった遺伝子をノックアウトし悪性形態が抑制されるのかを検討することでクラスターと悪性形質との関連を確認する。また、変異p53による鍵分子の制御機構に関してChIP assayを行って結合を確認しているが、ChIP-seqを行い変異p53と鍵分子の関係性をより明確にする予定である。更に、今回明らかになったLLGL2に関して更なる解析を進める。特にLLGL2とSmall G タンパク質との関わりを確認すると共に、LLGL2ノックアウト細胞を用いてIn vivoでの増殖・転移・悪性形態がどのように変化するか検討を行う予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Identification of genotype-biochemical phenotype correlations associated with fructose 1,6-bisphosphatase deficiency2023

    • 著者名/発表者名
      Ikki Sakuma, Hidekazu Nagano, Naoko Hashimoto, Masanori Fujimoto, Akitoshi Nakayama, Takahiro Fuchigami, Yuki Taki, Tatsuma Matsuda, Hiroyuki Akamine, Satomi Kono, Takashi Kono, Masataka Yokoyama, Motoi Nishimura, Koutaro Yokote, Tatsuki Ogasawara, Yoichi Fujii, Seishi Ogawa, Eunyoung Lee, Takashi Miki & Tomoaki Tanaka
    • 雑誌名

      Communications Biology

      巻: 6 ページ: -

    • DOI

      10.1038/s42003-023-05160-y

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 機能獲得型変異p53によるメバロン酸経路制御と乳がん悪性化機構の解明2023

    • 著者名/発表者名
      中山 哲俊、 横山 真隆、 永野 秀和、 山形 一行、 橋本 直子、 田中 知明
    • 学会等名
      第96回日本内分泌学会学術総会
  • [学会発表] メバロン酸経路制御を介した機能獲得型変異p53による乳がん悪性化機構2023

    • 著者名/発表者名
      中山 哲俊、横山 真隆、宮 英博、石 暁彦、永野 秀和、山形 一行、橋 本 直子、渕上 孝裕、田中 知明
    • 学会等名
      第82回日本癌学会学術総会
  • [学会発表] microRNA-874はホスホメバロン酸キナーゼを標的としてメバロン 酸経路を介した乳がん細胞の増殖を抑制する2023

    • 著者名/発表者名
      石 暁彦、橋本 直子、山形 一行、横山 真隆、中山 哲俊、関 直 彦、田中 知明
    • 学会等名
      第82回日本癌学会学術総会
  • [学会発表] シングルセル解析を用いたmiR-874による乳がんの増殖抑制メカニズム2023

    • 著者名/発表者名
      橋本 直子、山形 一行、石 暁彦、藤本 真徳、中山 哲俊、横山 真隆、田中 知明
    • 学会等名
      第96回日本内分泌学会学術総会

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公開日: 2024-12-25  

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