研究課題/領域番号 |
22K07212
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
孫 継英 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 准教授 (80397926)
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研究分担者 |
田代 聡 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (20243610)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ARP8 phosphorylation / 複製障害 / 発がん |
研究実績の概要 |
放射線や抗がん剤で誘導されたDNAの損傷は、その修復エラーによって突然変異や染色体構造異常などを誘導する。それによる遺伝情報の改変は、がんや白血病など悪性腫瘍の発症に繋がることが知られている。我々は、DNA二本鎖切断修復に関連するリン酸化酵素ATM及び複製フォーク障害に関わるリン酸化酵素ATRが転写、複製、修復などのDNA代謝を制御するクロマチンリモデリング複合体であるINO80複合体の構成因子ARP8をリン酸化することを報告している。培養細胞を用いた研究でARP8のリン酸化は抗がん剤エトポシドによる二次性白血病の疾患特異的染色体転座を抑制することや複製フォーク障害の修復に関与していることが明らかになっている。細胞レベルで複製ストレス応答機構におけるARP8リン酸化の意義をさらに明らかにするとともに、放射線照射または抗がん剤など化合物による発がん実験やがん細胞の染色体不安定性への関与について個体レベルでの解明が必要性と考えた。そこで、同研究所に所属する研究者の協力によりCRISPR-Cas9によるゲノム編集を用いた技術でARP8のリン酸化欠損マウスの作製を行なった。この方法は標的配列に対するガイドRNA、塩基置換したドナーDNA及びCas9タンパク質を野生型マウスの受精卵含む卵管へ注入した後エレクトロポレーションにより受精卵に導入するという方法である。この方法よりマウスARP8の遺伝子のリン酸化場所において一塩基置換されたC57BL/6系統のARP8のリン酸化欠損マウスの作製ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は、ほぼ予定の通りに研究を進めた。培養細胞を用いた実験の他、主にマウスARP8の遺伝子のリン酸化場所において一塩基変異を導入したリン酸化欠損マウスをC57BL/6系統のマウスでの作製を行った。現在ホモリン酸化欠損マウスが得られており、発がん実験のため、繁殖を行なっている。
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今後の研究の推進方策 |
一定数のホモリン酸化欠損マウスが得られた後、EtposideやHydroxyureaなどを使用してホモリン酸化欠損マウス及び対照となる野生型マウスに投与して発がん実験を行うとともに、他のマウス系統と戻し交配(バッククロス)を行う予定である。また、INO80複合体は遺伝子の発現調節に関連するため、培養細胞を用いてRNA-seq解析法でARP8の酸化と複製障害に応答する関連因子の発現変化との関連影について解析する予定である。
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