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2023 年度 実施状況報告書

化学放射線療法耐性直腸癌に対するフェロトーシス誘導療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K07257
研究機関自治医科大学

研究代表者

井上 賢之  自治医科大学, 医学部, 講師 (80375279)

研究分担者 佐久間 康成  自治医科大学, 医学部, 教授 (10296105)
北山 丈二  自治医科大学, 医学部, 教授 (20251308)
堀江 久永  自治医科大学, 医学部, 教授 (20316532)
高橋 将文  自治医科大学, 医学部, 教授 (40296108)
佐田友 藍  自治医科大学, 医学部, 助教 (40528585)
山田 直也  自治医科大学, 医学部, 研究員 (50611787) [辞退]
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード直腸癌 / 化学放射線療法耐性 / フェロトーシス
研究実績の概要

局所進行直腸癌に対する術前化学放射線療法 (Chemoradiotherapy: CRT) は、原発巣を縮小させ手術を容易にするだけでなく、局所再発率を低下させる効果があり本邦でも徐々に普及しつつある。しかし、その奏効性は患者によって大きな相違があり、CRTの治療効果を高めることが直腸癌患者の予後向上を考える上で最も重要である。CRT後の完全奏功率はわずか10%前後と低く、各患者で同様の効果が得られないという問題点がある。CRT奏功率を改善し、進行直腸癌に対する新たな治療法を開発することは臨床成績の向上にとって重要な課題である。そこで我々は、鉄依存的な細胞死=フェロトーシスに注目した。抗脂質酸化機構の阻害(フェロトーシスの誘導)により、CRT増感作用を惹起させ、効率的に細胞死をもたらすことができるのではないかと考えた。
昨年度確認された、大腸癌細胞株Caco2を用いたRSL3(RAS-selective lethal 3)によるフェロトーシス誘導を、他の大腸癌細胞株でも誘導可能か確認実験を行った。RSL3に加えElastinの効果も検討した。抗がん剤5-FUを添加しday2~day4の48時間培養した。day2とday3に大腸癌細胞株が死なないことが確認されている放射線量である4グレイを2回照射した。day4でRSL3/ELastinを投与し、day5に細胞を回収、MTT assayを行った。結果は、Caco2に対するRSL3によるフェロトーシスは5FU+放射線照射群で強く誘導される傾向が再現されたが、Elastinではその傾向が認められなかった。また他の細胞株、HT29、SW620ではフェロトーシス誘導を確認することができなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

対象とする細胞株が限定されてしまったため、さらに検討していきたい。

今後の研究の推進方策

フェロトーシスの誘導には、細胞膜上の多価不飽和脂肪酸PUFAが重要であるという報告がある。細胞膜のリン脂質の組成(特にPhosphatidylethanolamine 中の不飽和脂肪酸)が重要である。膜のリン脂質中にPUFA含量が増えた状態だと、膜中に酸化されやすい脂肪酸が多くなり、フェロトーシスしやすくなるといわれている。逆にオレイン酸など、一価の不飽和脂肪酸が多いと、酸化されにくいので、フェロトーシスを起こしにくい。PUFAの添加やリン脂質の脂肪酸組成に影響する酵素(ACSL4, ACSL3など)を介して、癌細胞に対するフェロトーシス感受性を制御できないかという点でも検討を進めていく。

次年度使用額が生じた理由

コロナウイルス感染症が蔓延して以来、国内・海外学会への参加がWeb対応になり旅費を使用しなかった。差額については、試薬等に使用予定である。

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公開日: 2024-12-25  

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