研究課題/領域番号 |
22K07267
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
檜原 扶紀子 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 分子イメージング診断治療研究部, 技術員 (20846935)
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研究分担者 |
立石 健祐 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (00512055)
松本 博樹 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 分子イメージング診断治療研究部, 研究員 (00592916)
五十嵐 千佳 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 分子イメージング診断治療研究部, 技術員 (00882482)
吉井 幸恵 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 分子イメージング診断治療研究部, 上席研究員 (10397242)
立花 知子 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 分子イメージング診断治療研究部, 主任技術員 (40846937)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 膠芽腫 / 低酸素 / 64Cu-ATSM / 患者由来脳腫瘍移植モデル / 局所投与 |
研究実績の概要 |
膠芽腫は、頭蓋内に生じる難治性の腫瘍であり、革新的治療法開発が喫緊の課題である。現在の治療指針としては外科手術による広範囲切除が推奨されるが、一般に病巣は脳深部の機能領域近くに及び、手術による完全切除は理論上不可能であり、多くの患者で局所を中心に再発する極めて予後不良の悪性腫瘍である。このため、膠芽腫に対する治療法開発において、局所病変の制御が重要となる。膠芽腫の腫瘍内微小環境の特徴として、増殖過程で酸素供給のための血管構築が追いつかず、その結果病変内部が広く低酸素化することが知られている。これに対し申請者らは、こうした低酸素化した悪性脳腫瘍に対し、特異的な集積を示す放射性薬剤64Cu-ATSMを開発し、本薬剤の静脈投与により、生存延長効果が得られることを非臨床試験で明らかにしてきた。また本成果を受け、現在我々は、再発悪性脳腫瘍患者を対象に、64Cu-ATSM静脈投与治療の第Ⅰ相臨床試験を行っている。一方で、我々は最近、本薬剤を脳腫瘍内に局所投与すると、従来の静脈投与と比べ、病変部に薬剤をより高集積させられることを非臨床試験より見出した。このことから切除困難な悪性脳腫瘍に対して64Cu-ATSMを術中に局所投与することで、より高い治療効果が得られると考えた。そこで本研究では、64Cu-ATSMの局所投与治療法の有用性・安全性につき、患者由来膠芽腫移植マウスモデルを用いた非臨床試験において明らかにし、切除困難な膠芽腫に対する革新的治療法の開発に挑戦している。 計画で上げた ①64Cu-ATSM局所投与に最適な薬剤合成法確立 ②64Cu-ATSM局所投与の毒性試験(治療用量決定) ③患者由来脳腫瘍移植モデルを使用した 64Cu-ATSM局所投与治療試験(効果検証) のうち①②についての成果を得ることができている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
準備状況が整っていたため、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
③患者由来脳腫瘍移植モデルを使用した 64Cu-ATSM局所投与治療試験(効果検証) について、作成した患者由来膠芽腫移植マウスモデルに②の毒性試験により得られた結果をもとに64Cu-ATSM又はvehicle(control)を局所投与後、生存延長効果を検討し、有効性の評価をする。また同実験において、体重変化・一般状態・行動を観察し、その安全性・脳への影響を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウス1匹分には足りず未使用額が生じましたが、この未使用額については、 次年度に特に必要となる、マウス購入費の足しにしたいと計画しています。
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