研究課題/領域番号 |
22K07278
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
林 芳矩 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (20882236)
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研究分担者 |
和田 尚 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任教授(常勤) (70243459)
牧野 知紀 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (80528620)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 食道癌 / 腫瘍免疫 / 腫瘍浸潤リンパ球 |
研究実績の概要 |
本研究では食道癌における腫瘍浸潤Bリンパ球の臨床的意義を評価する目的で食道癌切除標本における免疫組織化学によるリンパ球浸潤量を評価した。 観察を続ける中で腫瘍辺縁に形成される三次リンパ構造(TLS:Tertiary Lymphoid Structure)の不均一性を同定し、この定量的評価を確立することで疾患予後の指標となり得る可能性を見出した。腫瘍辺縁TLSは症例間でその発現性と成熟性が異なり、TLS高発現症例は腫瘍病勢が低く血清栄養指標が高いこと、またTLS高発現が独立した予後規定因子であることが示された。またこうした予後の層別化は成熟TLSのみが寄与していることが判明した。成熟TLSは未成熟TLSと比較して構成免疫細胞の多様性に富んでおり、特にCD138陽性形質細胞の著しい集積が認められた。 さらに食道癌における腫瘍浸潤Bリンパ球およびTLSのプロファイルと免疫治療奏効性との関連を調査した。切除不能進行・再発食道癌に対して抗PD-1抗体治療を実施したコホートを用いて腫瘍辺縁TLSを評価した所、TLSの発現性および成熟性が高い症例において上記免疫治療の奏効例が多く、また治療後予後が優位に高いことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現状の実験結果が患者予後や治療効果と関連し、バイオマーカーとなり得る可能性が示されており、概ね順調に計画が進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は腫瘍浸潤Bリンパ球のより詳細な分画の分類や、それらの機能的評価、他の免疫細胞に及ぼす影響に関して研究を進める方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
食道癌の腫瘍関連Bリンパ球に対する解析を行う計画であったが、組織学的検討を行う中で腫瘍浸潤リンパ球のうち腫瘍辺縁に存在する三次リンパ構造(TLS)が特に患者予後、治療効果との関連が高いことが新たな知見として判明した。そのため当初の研究計画に加えてTLSと他の免疫細胞との機能的相互作や発現性に対して他の患者コホートを用いてさらなる組織学的検討を追加することとした。研究分担者との研究計画協議を経て上記方針を決定したため、年度末時点で実験が間に合わず未使用額が生じた。未使用額は免疫染色やフローサイトメトリーなど、上記計画に沿った実験を行うための試薬購入費用に充てる予定である。
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