研究課題/領域番号 |
22K07310
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
園川 卓海 日本医科大学, 医学部, 助教 (80862242)
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研究分担者 |
臼田 実男 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (60338803)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 光線力学的治療 / 免疫チェックポイント阻害薬 / 肺癌 |
研究実績の概要 |
光線力学的治療(Photodynamic therapy: PDT)は、腫瘍親和性光感受性物質と低出力レーザーにより抗腫瘍効果を有する治療法で、従来の肺癌治療と比較して、低侵襲・低コストでQOLを損なわない治療法である。PDTは単独では局所療法と考えられてきたが、全身の免疫を賦活する作用も有することが報告されており、本研究ではPDTと近年発展が目覚ましい免疫チェックポイント阻害薬(Immune checkpoint inhibitors: ICIs)による免疫逃避の解除作用を利用し、それらの併用療法の可能性について検討する。 本研究では、マウス大腸腺癌細胞Colon 26を使用した。Colon 26に対するPDTの効果はWST assayを用いて評価した。マウスモデルを用いたin vivoでの実験では、Colon 26を片方の大腿皮下に移植したBALB/cマウスを作成し、非介入群、PDT単独群、ICIs単独群、PDT+ICIs併用群に群分けし、それぞれ治療を施行した。治療後、大腿部の腫瘍径を経時的に測定し、腫瘍体積を算出した。その結果、PDT+ICIs併用群の腫瘍体積は、非介入群、単独群と比較して増殖の増殖が抑制され、抗腫瘍効果の向上が認めれらた。また、病理学的評価において、PDT治療後、PDT+ICIs併用による治療後の腫瘍では、非介入群と比較してCD4、CD8、腫瘍随伴マクロファージ浸潤が増加した。 そのため、PDTは癌微小環境における免疫細胞の浸潤を増加させ、免疫チェックポイント阻害薬との併用療法で治療効果を向上できる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス大腸腺癌細胞Colon 26を移植したマウスモデルを使用し、本研究の主眼であるPDTとICIsによる併用療法の効果を実証することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後はPDT及びICIs投与による腫瘍微小環境の変化を病理学的に評価する。現在までの研究においても、病理学的な検証は行っているが、今後はより詳細に、さらに必要があれば個体数も増やして検証する。また、PDTにより壊死した細胞が流入するリンパ球の解析など予定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の拡大により学会活動が制限されたため、次年度使用額が生じた。
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