研究課題/領域番号 |
22K07330
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
桑木 共之 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (80205260)
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研究分担者 |
柏谷 英樹 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 講師 (70328376)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | エストロゲン / 快情動 / 側坐核 |
研究実績の概要 |
エストロゲンは女性ホルモンとして性殖腺で作られるだけでなく、男性・女性の脳内でも作られており情動や記憶学習に影響する。閉経後の鬱やホルモン療法による記憶増進などが知られている。本研究の目的は、「エストロゲンが側坐核を活性化することがその快情動誘発メカニズムの一つである」という仮説を検証する事である。快情動の指標としてナルコレプシー(嗜眠病)モデルマウスの情動脱力発作を利用し、本年度は以下の実験を行った。 1)脱力発作は快情動を誘発する刺激が無くても発症する。その原因は快情動の記憶想起にある事を突き止め、論文発表並びに学会発表した。 2)血中エストロゲン濃度をELISAで、カタプレキー回数を夜間(マウスの活動期)のビデオ行動記録から解析したところ、両者の間には正の相関関係が存在した。また、性周期をスメア法により同定したところ、発情期にカタプレキシー回数が著しく増加していた。一方で、妊娠期間中の血中エストロゲン高値はカタプレキシー回数の増加には結び付かなかった。妊娠期間中には脳内の受容体に変化が起っている事が示唆された。 3)遺伝子及び脳部位特異的に神経刺激を行う方法であるオプトジェネティクス手法を用いて側坐核の特異的刺激が脱力発作を引き起こす事を証明し、論文発表した。 4)情動脱力発作の原因であるオレキシン神経の欠損は痒みによる引っ掻き行動を減弱させた。すなわちオレキシン神経の活性化は不快情動に関係すると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は3つの実験を予定していた。1)エストロゲン濃度と情動脱力発作回数との相関分析、2)関与するエストロゲン受容体の同定、3)ファイバーフォトメトリー法を用いた側坐核神経活動のリアルタイム記録、である。 この内、1)は完了、2)は部分的に完了、3)は未着手である。
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今後の研究の推進方策 |
1)エストロゲンが側坐核吻側部を本当に活性化させるか否かを検証するために、形質膜型エストロゲン受容体のアゴニスト投与によって活性化される脳部位を神経細胞活性化マーカーの染色により同定する。 2)脳内エストロゲンの増減が側坐核吻側部神経活動に影響を与えている事を、ファイバーフォトメトリー法を用いてリアルタイムで検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
小額であるため、次年度に使用することにした。
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備考 |
研究業績ページあり。
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