研究課題
2022年度は、ペア飼育中のマウスについてケージ内において、どのような二者相互作用が社会性行動に影響するのかを検討するために、幼若期から開始したペア飼育中のケージ内行動を成熟期に至るまで観察、記録、解析した。具体的には、3週齢で離乳・雌雄分けし、同腹のマウスを3パターン(パターン1: 野生型-野生型、パターン2: Tsc1+/--Tsc1+/-、パターン3: 野生型-Tsc1+/-)で飼育した。パターン2: Tsc1+/--Tsc1+/-(自閉症モデルマウスのみでの飼育)での飼育では、執拗なほどのgroomingやsniffingをすることが見られ、ケンカに発展することが観察された。パターン1: 野生型-野生型やパターン3: 野生型-Tsc1+/-ではケンカに発展するほどのgroomingやsniffingは見られなかった。床敷きを運ぶ、巣を整えるなどの行動は、パターン3: 野生型-Tsc1+/-のケージ内において、協同して作業を行うことが観察された。これらのケージ内行動の特徴と社会性行動成績がどのように相関するかを現在解析中であり、今後匹数を追加して検討を進める。
3: やや遅れている
マウスの交配、出産・発育状況が計画通りに進まず研究の進展がやや遅れた。
マウスの発育発達に沿いながら、ペア飼育における各マウスの観察・記録を続け、匹数を追加していく。特に、各ペア内での役割や幼若期から成熟期にかけての特徴的な行動(毛づくろいなど)が、社会性行動にどのように相関しているのかを詳細に解析する。また、社会性行動テスト終了後のマウスから随時、脳サンプルを回収していく。得られた脳サンプルからDNA、RNAを抽出し、メチル化解析や遺伝子解析を行うまで、凍結保存を行う。
当該年度のマウスの交配や発育状況がやや遅く、掛け合わせ用のマウスや社会性行動テストで用いるstrangerマウスの購入費用に未使用が生じた。次年度へと研究が継続されるため、掛け合わせ用やstrangerマウスに充てる。さらに、分子解析の検討も開始する予定なので、必要試薬などの購入に充てる。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
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10.1016/j.jri.2022.103752.
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https://www.igakuken.or.jp/abuse/works_molecpsy/works2022.html#original