研究課題/領域番号 |
22K07340
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
村上 浩子 (古田島浩子) 公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 主任研究員 (60619592)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 行動療法 / エピジェネティクス |
研究実績の概要 |
2023年度は、2022年度に引き続き、ペア飼育中のケージ内において、どのような二者相互作用が、社会性行動に影響するのかを検討した。具体的には、幼若期から開始したペア飼育中のケージ内行動を成熟期に至るまで観察、記録した。マウスを3週齢で離乳・雌雄分けし、同腹のマウスを3パターン(パターン1: 野生型-野生型、パターン2: Tsc1+/--Tsc1+/-、パターン3: 野生型-Tsc1+/-)で15週齢まで継続的に飼育した。観察方法は、各週齢で2日間ずつ、飼育ケージ内の行動指標を記録した。3週齢から15週齢まで継続的に記録した指標を計数し、解析に用いた。2022年度では、パターン2: Tsc1+/--Tsc1+/-(自閉症モデルマウスのみでの飼育)での飼育では、執拗なほどのgroomingやsniffingをすることが見られ、ケンカに発展することが観察されたが、2023年度の追加解析では再現が得られ無かった。このため、sniffing、相互groomingなど現在指標として確立したものを各飼育パターンにおいて有意な差があるかを解析中である。また、ケージ内観察後の社会性行動との相関についても今後解析予定である。さらに、ケージ内観察及び社会性行動時間テスト終了後の全脳を用いて、DNAメチル化解析の予備検討を実施中である。本解析を行うにあたり、各飼育パターンから抽出できる要因を遺伝要因と環境要因(ペア飼育の相手)に区分けして、DNAメチル化のパターンを抽出する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
同腹でのマウスの組み合わせを実施しているが、マウスの出産数や遺伝子型を揃えることが難しい場合があり、やや遅延していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
各ペア飼育のパターン内におけるケージ内観察・記録を続け、解析を継続する。また、各ペア内での有意差のある指標を見出し、社会性行動にどのように相関しているのかについても解析する。社会性行動テスト終了後のマウスの脳サンプルを用いて、予備解析を開始したので、各ペア飼育のパターンで、どのような特徴が見出されるかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度において開始した行動実験の継続実施と分子生物学的解析の予備検討を、次年度も継続して行うため、その費用を持ち越した。今後は、実験と解析の継続により、マウス購入費やchip購入費などに使用する予定である。また、本研究成果発表のための学会参加費などにも使用する予定である。
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