研究課題/領域番号 |
22K07343
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
赤嶺 博行 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (30931315)
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研究分担者 |
鵜沢 顕之 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (10533317)
横山 真隆 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (20514871)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 重症筋無力症 / シングルセルRNA解析 |
研究実績の概要 |
我々は、末梢血を対象にしてシングルセル解析技術を用いて1細胞レベルでのmRNA発現を解析している。またRNA発現だけでなく、細胞表面蛋白も解析対象としており、従来の細胞表面蛋白の発現で定義した細胞との比較も可能である。以下に、研究の途中経過を示す。
・クラスタリング解析:シングルセルRNA解析データを用いて、病態に関連する細胞集団のクラスタリング解析を行った。この解析により、重症筋無力症患者の末梢血中に存在する細胞サブセットが明らかとなり、それぞれのサブセットが病態発現にどのように関与しているかを詳細に解析できる。 ・発現変動遺伝子の探索:シングルセルRNA解析技術を用いて、クラスター毎の重症筋無力症に関連する発現変動遺伝子を同定した。これらの遺伝子は、免疫応答や細胞増殖などの生物学的プロセスに関与していると想定されるため、今後これらの遺伝子に注目した実験や解析を行っていく。 ・細胞間相互作用の解析:重症筋無力症患者の末梢血中のT細胞やB細胞における細胞間相互作用に関与する因子やシグナル伝達経路を同定した。この解析により、病態発現における細胞間のコミュニケーション機構が明らかになった。 ・転写因子ネットワークの解析:シングルセルRNA解析により得られたデータをもとに、転写因子ネットワークを同定した。正常対照と比較することで重症筋無力症でより活性化している転写因子ネットワークの同定が可能となった。これにより、病態発現の制御機構の解明を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シングルセルRNA解析に影響を与えないように、未治療の患者を選択して解析を行っている。同定された分子を蛋白レベルでの解析が行えるように、ELISAやFACSなどの実験系の立ち上げも順調である。
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今後の研究の推進方策 |
サンプル数の増加による解析精度の向上 サンプル数が不十分であることが、重症筋無力症の不均一性を十分に反映せず、解析結果に影響を与える可能性がある。今後、サンプル数を継続して増やし、さらなる解析を行うことで、病態解明や治療法開発に繋がる成果を目指す。
本研究は重症筋無力症におけるシングルセルRNA解析技術の活用により、従来では困難であった細胞レベルの解析を行っている。これにより、病態発現に重要な役割を果たす転写因子ネットワークや細胞間相互作用などの機構が明らかになり、新たな治療戦略の策定や治療薬の開発に貢献することが期待さる。今後も研究を継続し、重症筋無力症の病態解明と治療法開発の一助となるような解析に向けた成果を追求する。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬の割引で想定よりも安価であったため。 2023年度の学会参加費などに充てる。
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