研究課題/領域番号 |
22K07370
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
柳沢 大治郎 滋賀医科大学, 神経難病研究センター, 准教授 (50581112)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | MID1 / タウ / タウオパチー |
研究実績の概要 |
ヒトmidline-1(MID1)を恒常的に安定発現する細胞株を作製した。ヒト胎児腎細胞293(HEK293T細胞)からクローニングしたヒトmidline-1(MID1)配列をpIRESpuro3プラスミドベクターにサブクローニングした(pIRESpuro3-MID1)。また、MID1のN末端側またはC末端側に緑色蛍光タンパク質(EGFP)を融合したタンパク質(EGFP-MID1またはMID1-EGFP)を発現するためのpIRESpuro3プラスミドベクターも作製した(pIRESpuro3-EGFP-MID1またはpIRESpuro3-MID1-EGFP)。これらのプラスミドベクターをHEK293T細胞にトランスフェクションし、ピューロマイシンで選択後、1細胞を単離して培養することで、クローン細胞株を得た。 マウスおよびヒトの両方を認識する抗MID1抗体の選定を実施した。市販されている5つの抗体について、ウェスタンブロッティングにおける検出を指標にして検討したところ、4つがヒト細胞株(HEK293T)でMID1に相当する分子量のバンドが検出されたが、うち2つは同時に多数のバンドも検出された。一方、5つの抗体のいずれもマウス脳抽出物ではMid1に相当するバンドは検出されなかったことから、マウス脳におけるMid1を検出するためには抽出方法を検討する必要があると考える。ヒトMID1については特異的に認識する抗体2つを選定できたことから、今後はこれらの抗体を用いて、タウの病的変化におけるMID1の機能について解析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒトMID1を解析するための抗体を選定することができ、MID1の詳細な機能解析に利用できる見通しがついた。MID1安定発現細胞株を用いて、タウの病的変化およびタウオパチー発症との関連について解析を進めていく。一方、マウスの解析に用いる抗体の選定および抽出方法は今後検討する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
MID1安定発現細胞株にタウアイソフォーム(0N3R、1N3R、2N3R、0N4R、1N4R、2N4R)および変異体(L266V、P301L、V337M)を遺伝子導入し、リン酸化をはじめとするタウの翻訳後修飾や不溶性タウ・凝集形成の増減を指標にして、各アイソフォーム・変異体に対するMID1の機能を明らかにする。また、MID1-EGFPまたはEGFP-MID1安定発現細胞株に同様の処置を実施し、MID1およびタウの細胞内局在の変化を解析する。さらに、MID1をノックダウンまたは下流シグナルの阻害(ユビキチンプロテアソーム、mTOR)することで、MID1の作用がキャンセルされるかを検証する。さらに、MID1のE3ユビキチンリガーゼとしての機能に関して、基質タンパク質の同定とタウの凝集体形成機構との関連を解析する。 選抜した抗MID1抗体を用いてヒト脳組織におけるMID1の発現と局在を解析する。また、マウスMid1についても抗体の選抜および抽出・検出方法を検討し、マウス脳における解析を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品の在庫調整や節約、委託先・費用を見直したことにより次年度使用額が生じた。 次年度も適切な使用を心がけて計画的に使用する予定である。
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