• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

Naポンプ神経疾患の症状発現トリガー物質、アスコルビン酸が神経系に及ぼす基盤解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K07377
研究機関昭和大学

研究代表者

池田 啓子  昭和大学, 歯学部, 客員教授 (10265241)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードNaポンプ / アスコルビン酸 / 脳幹脊髄摘出標本 / アポトーシス / SVCT2 / ノックアウトマウス / トリガー物質 / 電気生理学的解析
研究実績の概要

NaポンプはATPの加水分解エネルギーを用いて、NaイオンとKイオンを輸送する能動輸送酵素で、αとβの2つのサブユニットからなる。 Naポンプによって維持される形質膜を隔てたNaイオンやKイオンの濃度勾配は、 グルコースなどの栄養分やイオンの輸送、 浸透圧の制御に利用される。つまりNa ポンプは生存に必須な蛋白質である。近年Na ポンプαサブユニット遺伝子変異を原因とする複数の神経疾患が報告されてきた。疾患は多岐にわたるものの、共通した特徴が2つある。1つめは身体的/精神的ストレスが引き金となり、疾患の発症やジストニアや頭痛などの発作がおこるという点、2つめは呼吸活動を含む自律神経に関する症状が随伴するということである。最終目標はこれらの点について病態基盤を解明し、症状発現の抑制のための治療薬開発である。Na ポンプ神経疾患病態モデルマウスを使った先行研究で、引き金となるトリガー物質の一つが脳内アスコルビン酸であり、その量の低下が症状発現に繋がることをつきとめた。今年度は以下2点の実験を行った。1. 脳内アスコルビン酸量が恒常的に低下したマウス新生仔(SVCT2-KO)の脳幹を調製し、酸素化された生理食塩水が還流するシャーレの中に摘出脳幹(延髄と脊髄)を置き、呼吸中枢神経系の活動を横隔神経(C4)活動で導出し、電気生理学的解析をした。低酸素や高炭酸ガスに対するC4の応答もみた。2. 呼吸中枢神経系が存在する脳幹の組織学的解析を行った。1の結果:昨年度の予備的実験結果では、SVCT2-KOでは低酸素や高炭酸ガス応答が欠如していることが示唆されていた。今年度、例数をふやし実験を繰り返したところ、SVCT2-KOでは応答性が存在するものの、著明に減弱していることが判明した。2の結果:SVCT2-KOではリズム形成を担う呼吸中枢形成ニューロン群に多量のアポトーシス細胞が観察された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は、実験環境が整い、概ね順調に結果が出ている。実験例数を増やし、実験を行っている。昨年度の予備的実験からの予想と異なる結果が出たが、新たな知見が得られた。また、アポトーシスの電顕写真も取得することができた。

今後の研究の推進方策

低酸素や高炭酸ガス応答は、欠如していなかったが、呼吸を司る呼吸中枢神経群に比較的特異的なアポトーシスがあることを新たに発見した。今後はアスコルビン酸の欠如が、呼吸中枢神経群のアポトーシスを引きおこすのか、分子基盤を探索する。アスコルビン酸欠乏が、部位特異的にニューロン等のアポトーシスをひきおこし、Na ポンプ関連神経疾患発症につながることを証明し、アポトーシスを防ぐ治療薬開発に繋げていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

試料の調製に手間取り、必要な日齢のマウスがなかなか取得できなかったため。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Cell Responses of the Ventrolateral Medulla to PAR1 Activation and Changes in Respiratory Rhythm in Newborn Rat En Bloc Brainstem-Spinal Cord Preparations2023

    • 著者名/発表者名
      Onimaru Hiroshi、Fukushi Isato、Ikeda Keiko、Yazawa Itaru、Takeda Kotaro、Okada Yasumasa、Izumizaki Masahiko
    • 雑誌名

      Neuroscience

      巻: 528 ページ: 89~101

    • DOI

      10.1016/j.neuroscience.2023.08.002

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Minocycline prevents hypoxia-induced seizures2023

    • 著者名/発表者名
      Fukushi Isato、Ikeda Keiko、Takeda Kotaro、Yoshizawa Masashi、Kono Yosuke、Hasebe Yohei、Pokorski Mieczyslaw、Okada Yasumasa
    • 雑誌名

      Frontiers in Neural Circuits

      巻: 17 ページ: 01-08

    • DOI

      10.3389/fncir.2023.1006424

  • [学会発表] 訪問診療部からのメッセージーNaポンプ (Na/K ATPase)遺伝子関連神経疾患2024

    • 著者名/発表者名
      Keiko Ikeda
    • 学会等名
      第二回横浜西部地域連携フォーラム
    • 招待講演
  • [学会発表] モデル動物を用いて疾患の病態生理に迫る2023

    • 著者名/発表者名
      Keiko Ikeda
    • 学会等名
      東工大大隅塾
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi