研究課題/領域番号 |
22K07395
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高橋 利匡 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (60807270)
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研究分担者 |
山本 浩一 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (00528424)
樂木 宏実 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (20252679)
赤坂 憲 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (70468081)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 高齢 / 糖尿病 / オートファジー |
研究実績の概要 |
本研究においては以下の3つの目標を設定し進めている。 目的①加齢による全身の臓器(膵臓、肝臓、骨格筋)のオートファジー機能能評価と血中リソソーム関連遺伝子との相関を評価する。 目的②リソソーム機能を増強することで加齢によるオートファジー低下を是正し、抗加齢作用と糖尿病治療を行う。 目的③臨床での糖尿病の発症リスク、重症度や判定のマーカーとして全身のリソソーム機能を評価する方法を開発する。 本研究では加齢による全身のリソソーム機能低下に注目しており、糖尿病発症機構に全身の臓器(膵臓、肝臓、骨格筋)のオートファジーの変化の評価を行っている。現在行っている検討において、膵β細胞株の老化誘導をもたらすことで、オートファジーのインフラックスの変化がもたらされることが示唆されている。さらに、加齢によってリソソームの機能とリソソームのターンオーバーも老化誘導によって変化することが示唆される結果が得られている。これらの変化が膵β細胞内の老廃物や機能低下した細胞小器官の蓄積など膵β細胞に悪影響を与えていることが示唆されている。さらに老化マーカーは老化マーカー(p16、p21、p53)の発現、組織のβ-ガラクトシダーゼ(SA-β-gal)を使用しているが臓器によってそのマーカーの特性、老化マーカーであるp16、p21、p53の発現パターンや、細胞周期の状態が異なる可能性が示唆される結果が得られており、現在は膵臓での老化を既報と比較しながら検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
目的①に対しては現在、膵β細胞株であるMIN6細胞を用いて、薬剤による加齢性変化の誘導を行っている。既報で他の組織・細胞にておいて老化誘導を行うことができる薬剤を複数使用し、膵β細胞における再現性を確認している状況にある。細胞の老化は臓器の老化マーカー(p16、p21、p53)の発現、組織のβ-ガラクトシダーゼ(SA-β-gal)染色で評価する。老化に伴う細胞周期の停止の評価には細胞周期センサーであるFucci-CA(Mol Cell. 2017,68:626-640)を用いて評価をして、老化を促進する可能性のある薬剤の候補を見出している。経過としては順調である。 目的②に関しては薬剤誘誘導した膵β細胞におけるリソソーム関連遺伝子やオートファジー関連の発現をコントロールと比較して測定を行っている。さらに細胞内オートファジーインフラックスやリソソームのターンオーバーを独自で開発したバイオセンサーを用いて測定している。バイオセンサーの作成に予定より時間がかかり、経過としてはやや遅れている。 目的③に関してはサンプルの収集を予定しているがコロナ禍の影響もあり回収が進んでいない現状である。今後、サンプルを集める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
各目標に沿って以下の如く研究を進める予定である。 目的①に関してはMIN6細胞を用いた老化のプロファイルを評価した後に、マウス膵臓スライスを用いた実験に移行予定である。特にマウスにおいては高齢マウスと若年マウスの比較予定をしている。 まずは膵臓からスライスカルチャーのより良い再現性のとれる培養環境を検討する。その後に肝臓、骨格筋でのスライス培養の条件も検討する予定である。また、臓器スライスカルチャーでの細胞小器官の動態をライブイメージで確認できるセンサーの構築を継続する。 目標②に関してはMIN6細胞を用いたリソソームやオートファジーの関連遺伝子の発現の検討を行った後に高齢マウスと若年マウスの比較を行いその変化を評価する。目的①と同様に、臓器スライスカルチャーの条件を検討した後に細胞実験から動物実験への移行を予定している。 目的③に関してはサンプル回収を行うべく、我々が進行している臨床研究であるSONIC研究の血液サンプルを採取し、サンプル数の蓄積量を増やす。
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