研究課題/領域番号 |
22K07396
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
大崎 博之 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (80438291)
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研究分担者 |
鴨志田 伸吾 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (70351020)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | IgA腎症 / ポドサイト / 尿細管上皮細胞 / (プロ)レニン受容体 / 腎生検 / 尿細胞診 |
研究実績の概要 |
IgA 腎症は 40% の患者が末期腎不全に移行する予後不良の糸球体腎炎である.そのため,病勢に応じた積極的な治療介入が重要となるが,正確な病勢把握のために必要となる腎生検は侵襲が強く容易に実施できない.そこで本研究では,非侵襲的に IgA 腎症の病勢と予後を推定できる新しい検査法の開発を目的とし,①申請者が考案した方法(Ohsaki H*. Cytopathology 2017)を用いて,尿中細胞の出現数により腎生検所見を推定できる基準値を確立する.同時に,②尿中(プロ)レニン受容体が IgA 腎症の新規バイオマーカーになり得るかを明らかにする.定期的な尿細胞診と尿中(プロ)レニン受容体の測定で IgA 腎症の病勢と予後の推定ができれば,迅速かつ適切な治療介入が可能となり,腎機能の維持と透析の回避につながる. 令和4年度は,各共同研究施設でのIgA 腎症患者から得られた,①尿細胞診標本に,WT1 抗体(ポドサイト)と vimentin 抗体(反応性尿細管上皮細胞)を用いた免疫染色を実施した.また,②尿の上清を用いて (P)RR の測定を行った(ELISA 法).その後,2種類の尿中細胞の数をカウントし,尿中 (P)RR,各施設から提供された腎生検所見・各種データとそれぞれ比較した. その結果,尿中のポドサイトや反応性尿細管上皮細胞は,IgA腎症の活動期で有意に増加し,逆に早期や末期の状態では少ないことが判明した.また,尿中(プロ)レニン受容体については,IgA腎症の早期や活動期に増加し,末期状態では減少する傾向が見られた.さらに,各尿中細胞の出現数と尿中(プロ)レニン受容体の値について,腎生検の所見とどのような関係があるかについて検討を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究チームは以前より共同研究を実施しており,研究計画策定時に十分な打ち合わせを行い,確実に実施できる計画を立てたため.また,コロナの感染状況や対策が落ち着いてきたことも大きい.
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は,前年度の研究を継続することに加え,実験動物を用いた研究も開始する.
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次年度使用額が生じた理由 |
抗体の希釈倍率を再度検討することで,抗体の使用量を削減できた.また,対面での打ち合わせをオンラインでの打ち合わせに切り替えたことも大きい.
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