研究課題/領域番号 |
22K07413
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
角元 利行 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90876814)
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研究分担者 |
松川 敬志 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80755760)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 副腎白質ジストロフィー / バイオマーカー / ELISA |
研究実績の概要 |
副腎白質ジストロフィー(ALD)の病勢を反映するバイオマーカーの確立を目指し、初年度は、すでに保存されているALD患者の脳脊髄液中ニューロフィラメント軽鎖(NfL)を網羅的に測定した。脳脊髄液中NfLについてはELISA法により計測した。大脳型ALDでは副腎脊髄ニューロパチー(AMN)に比べ脳脊髄液中NfLが有意に高かった。脳幹小脳型ALDでも脳脊髄液中NfLはAMNに比べ高い傾向にあったが有意差はつかなかった。脳脊髄液中NfLは頭部MRIでの白質病変の広がりを表すスコアであるLoes scoreとの間に正の相関を有していた。少数ではあるが長期的に脳脊髄液中NfLを追えた例があった。AMNから大脳型ALDへ移行する際に脳脊髄液中NfLが上昇する症例があった。また、造血幹細胞移植を行うと大脳病変の進展が停止した症例では脳脊髄液中NfLが低下し、大脳病変が進展した例ではNfLが上昇したままだった。これらのことから脳脊髄液中NfLはALDの病勢を反映しており、大脳型ALDへの移行や治療効果判定のバイオマーカーになりうると考えた。以上の結果は論文にまとめ投稿中である。血清NfLの測定については当初はSiMoa assayで行うことを考え、外注する予定としていたが、新たな血清NfL ELISAキットがUmanDiagnostics社より発売されたため、SiMoaより安価であるのでいくつかのサンプルで検討した。しかし、血清をdilutionすると血清NfL ELISAキットでのNfLの測定値が影響を受けることがわかった。測定のダイナミックレンジを超えてしまう検体も多く、同キットでの安定した測定は困難であると結論づけた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既存の脳脊髄液検体におけるNfLの測定は終了しており、論文を作成し投稿中である。前向き研究についても倫理申請を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
計画に沿って、臨床情報の収集,血漿検体および可能な範囲での脳脊髄液の採取を前向きに行う前向きコホート研究の倫理申請を通し、患者登録を進めていく。また、血清検体でのNfLの測定については他施設の協力を仰ぎSiMoa assayでの測定を計画する。
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