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2023 年度 実施状況報告書

大黄の修治による血流改善メカニズムの解明および漢方処方への応用

研究課題

研究課題/領域番号 22K07425
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

太田 美里  名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 研究員 (00767121)

研究分担者 牧野 利明  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 教授 (80326561)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード大黄 / 一酸化窒素(NO) / トロンビン / 加熱 / 修治
研究実績の概要

本研究では、大黄の修治による血流改善作用の向上を検証することを目的として、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)における一酸化窒素(NO)産生量および血液凝固に関連するトロンビンの阻害作用を指標として大黄エキスおよび大黄含有成分の活性評価を行った。
(1)NO産生量の変化:HUVECでの内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)由来のNO産生量をGriess法により測定したところ、大黄エキス添加により濃度依存的に有意にNO産生量が増加したが、180℃で加熱した大黄ではその作用が減弱した。
(2)トロンビン活性(in vitro):トロンビンの基質に対する結合能を評価する実験系を用いてトロンビンの活性を測定したところ、大黄エキス添加によりトロンビン活性が有意に阻害されたが、180℃で加熱した大黄では阻害作用が減弱した。加熱加工により増加するアントラキノンモノマーはトロンビン阻害作用を示したが、大黄中に含有する量では作用を示さなかった。一方、エピカテキンガレート(ECG)が濃度依存的なトロンビン阻害作用を示し、大黄エキスの活性の35.8%寄与していた。ECGは加熱加工により減少したことから、大黄のトロンビン阻害活性の変化はECGによることが示唆された。
(3)トロンビン活性(ex vivo):生体内での代謝物のトロンビン阻害活性を評価するために、大黄エキスを投与したマウスの血清を用いた評価系を構築し、現在活性評価中である。
以上、in vitro実験系では、大黄の加熱加工により活性が減弱したことから、漢方医学で期待される駆お血作用の増強が確認できなかった。本研究の結果が本当に伝統医学の理論と異なるのかを確認するために、引き続きin vivoでの検証も行っていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

大黄の血流改善作用の活性本体は加熱加工による生成物のセニジンであると予想していたが、in vitro実験系では加熱加工により減少する化合物が活性本体である可能性が出てきたため、計画を変更して活性成分の探索を行う必要が出てきた。また、大黄の血流改善作用には生体内での代謝物も関与している可能性もあるため、in vitroの結果を補うex vivo実験系の構築を優先した。R5年度に行う予定だったin vivoでの各種修治大黄の血流改善作用および瀉下作用の検証は次年度に行う。

今後の研究の推進方策

新たに大学院生1人の協力を得て、大黄の血流改善に関与する活性成分のin vitroでの探索とin vivoでの作用の検証を同時並行で順次進めていく。

次年度使用額が生じた理由

研究計画変更の必要があったため、R5年度に使用できなかった各種分析およびin vivo実験の費用は次年度に回して、各種クロマトグラフィー試薬購入、実験動物購入飼育費として使用したい。また、R6年度は引き続き細胞実験を行うため、細胞培養維持に関する消耗品を購入予定である。

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公開日: 2024-12-25  

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