研究課題/領域番号 |
22K07432
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
安武 正弘 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (70281433)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 高清浄環境技術 / 高齢者 / 睡眠診断 / 感染予防 / 花粉症対策 |
研究実績の概要 |
新しい清浄環境技術であるClean Unit System Platform (CUSP)は、孤立閉鎖系を構成することで清浄環境を実現する。また、CUSPは非接触・非侵襲に閉鎖空間内被検者の代謝測定を可能とする特徴を有する。我々は、この技術を応用し、子供から高齢者までの全世代に無理なく適用できる新しいシステムを実現し、最終的には,①医療費の抑制・健康寿命の延伸と,②高齢者・独居世帯対応行政の負荷 (行政コスト) 軽減を可能とし,③新しい体活動分析手法、空気環境を利用した体情報測定など、健康増進・医療への展開を目指している。 我々は、高齢者健康問題への応用の1つとして、プロトタイプのテント型CUSPを、北海道大学電子研究所、エコアース株式会社との共同で感染予防対策用CUSPシステム「CAQLEA」へと発展させた。CAQLEAは高齢者を感染症から守る目的での使用が考えられるが、塵埃除去能力や酸素、二酸化炭素などの環境ガスの経時的評価が必要である(安全性の検証)。また、これまで行ってきた清浄環境における塵埃変動の生体情報として活用についても引き続き検討する。まず第一に、高齢者の生存安否確認としての応用を検討する。CAQLEA内で生活してる様子をビデオ記録し、塵埃変動と比較検討する。第二に、睡眠中の塵埃変動 (kinetosomnogram:KSG)と睡眠時ポリソムノグラフィ-(PSG)を対比することで睡眠障害の診断への応用を検討していく。第三に花粉・PM2.5 (黄砂を含む)暴露による健康被害(花粉症等)の防止効果について検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
感染予防対策用CUSP システム「CAQLEA」の安全性や有効性を評価するために、CAQLEA内の酸素濃度や二酸化炭素などの経時的変化を評価する測定系のセットアップが必要であった。適切な機器の選定や、セットアップを北海道大学の電子科学研究所の石橋教授の協力のもとに行う必要があった。研究の打ち合わせ、研究に関連する情報の収集、酸素・二酸化炭素測定機器の確保、データロガーやPCの設定等に時間を要し、2023年6月にようやくセットアップが完了し、安全性評価のための環境測定を開始する運びとなった。臨床研究として進めるための、スペースの確保が困難であるため、研究計画書の倫理審査に至ってない。
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今後の研究の推進方策 |
2023年6月に、北海道大学電子科学研究所のスタッフを招聘し、酸素、二酸化炭素の測定系のセットアップを共同して行った。 CAQLEAの安全性を検証し感染対策への有効性と、安全性の検証を進めている。また、塵埃変動の生体情報としての利用に関しては、安否確認や睡眠診断への応用を検討する。以前の研究成果を発展させ、健康な成人、高齢者、睡眠障害を有する高齢者を対象にKSG、PSGを同時に記録し比較検討を行う。 さらに、花粉・PM2.5 (黄砂を含む)暴露による健康被害(花粉症等)の防止効果について検討していくための、具体的な研究計画を作成していく。 また、これまでの結果を学会発表や論文発表で発信していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会での発表経費、共同研究者の石橋晃教授(北海道大学から佐賀大学へ移動)との研究に関する打ち合わせや論文執筆、追加実験などに使用予定である。
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