研究実績の概要 |
補中益気湯 (TJ-41) が廃用性筋萎縮に与える効果を、無血清培地下で培養したC2C12筋管 (in vitro) および後肢懸垂マウス (in vivo)を用いて検証した。TJ-41はC2C12筋管において、筋萎縮関連遺伝子atrogin-1の発現を抑制し、筋管径の低下を軽減した。AMPKや蛋白合成系に対しては明らかな効果を示さなかった。TJ-41は非懸垂マウスの腓腹筋においてAkt, mTORの活性を低下させ、AMPK活性を上昇させ、筋重量を増加させた。後肢懸垂モデルマウスにおいて、TJ-41は腓腹筋におけるatrogin-1発現を抑制し、腓腹筋重量低下を軽減した。以上より、TJ-41はatrogin-1発現抑制とAMPK活性化効果を有し、廃用性筋萎縮の予防に有用である可能性が示唆された。 若齢マウスに人参養栄湯またはTJ-41を重量比3%混入した餌を3週間投与後に血清および腓腹筋を回収し、メタボローム解析を行った。人参養栄湯投与により、腓腹筋内のNAD+, ATPなどのミトコンドリア関連物質と、セリンをはじめとするアミノ酸の増加を認めた。さらに人参養栄湯およびTJ-41は、血清および腓腹筋において、ロイシンの代謝産物である4-Methyl-2-oxopentanoateを有意に増加させた。 マウスに14日間の後肢懸垂を実施した後、14日間のリハビリテーション(リハビリ;ケージの中で自由行動)を実施した。リハビリ期間中、餌に重量比3%の人参養栄湯またはTJ-41を混入して投与し、さらにトレッドミルによる有酸素運動を併用することで、リハビリ促進効果を検証した。リハビリ期間終了後にマウスをsacrificeしてヒラメ腓腹筋重量を測定したところ、人参養栄湯およびTJ-41はいずれも筋重量回復を促進したが、有酸素運動による筋重量回復効果は認められなかった。
|