アメリカ オハイオ州 シンシナティ大学・シンシナティ小児病院において、アメリカ人小児肥満外科手術の前後での血中因子の解析を行い、全身の炎症マーカーと、エクソソームの炎症性因子の低下が認められた。マウス培養肝臓細胞を用いて、過剰な脂質など生活習慣病に関連する刺激を行ったところ、肝細胞から産生されるエクソソームの炎症性が亢進した。これらの結果から、エクソソームは生活習慣病において慢性炎症に重要な役割をはたしていると考えられた。また、小児肥満手術の臨床研究にて、術前の耐糖能異常、脂肪肝、脂質異常症などの合併症がある患者では、術後の体重減少が少ない事がObesity誌に報告された。
また、研究期間中、日本人2型糖尿病患者ではアルコール代謝に重要な遺伝子である、ALDH2遺伝子多型がインスリン抵抗性に関与している事を、Metabolism open誌に報告した。 ALDH2遺伝子がリスク型の場合、2型糖尿病患者、非糖尿病健常者共に、食事負荷試験による食後の血糖値は同様ながら、肝臓のインスリン抵抗性が高値であった。しかし、グルコースクランプ試験によるインスリン抵抗性には差を認めなかった。これらの結果から、ALDH2遺伝子がリスク型であれば肝臓のインスリン抵抗性を示すことが示唆された。
また、空腹時の採血のみで肝臓のインスリン分解が評価できる事をDiabetology & Metabolic syndrome誌に報告した。肝臓でのインスリン分解について、通常は糖負荷試験を行い、負荷後のインスリンAUCとCペプチドAUCの比を取るが、空腹時のインスリン値とCペプチド値の比は食事負荷後の値とよく相関した。
|