研究課題
NASH肝線維化進展におけるRAGEの発現増加のメカニズム解明NASH患者の血清中AGEは上昇し、肝臓ではRAGEが高発現しているなど、AGE-RAGE系はNASHの病態進展に重要な役割を果たしていると考えられており、我々は、RAGEノックアウトマウス(RAGE KO)を用いてメチオニン・コリン欠乏食(MCD)誘発NASH肝線維化モデルにて検討を行ったところ、コントロールマウス(C57BL/6j)と比べRAGE KOでは肝線維化進展およびTGF-β1, CTGFなどの肝線維化マーカーが著明に抑制されることが明らかとなった。さらに、肝線維化進展に重要である肝星細胞に発現しているRAGEのcytoplasmic binding partnerであるmDia1の発現亢進がRAGEとともに肝線維化進展に重要な働きをしていることが明らかとなった。さらに、その作用はErk1/2とAktを介した作用メカニズムであることも今回明らかとなった。膜貫通型RAGEおよびsoluble RAGEの発現亢進と肝線維化進展の関連についてNASHマウスモデルにおける血中soluble RAGEの発現を測定したところ、予想通りに肝線維化マーカー(M2BPGi、Col1a1)や肝組織など肝線維化進展に伴って血中濃度が増加していることが明らかとなった。このことより、soluble RAGEはNASHにおける肝線維化マーカーの候補になりえる可能性が出てきた。今後はNAFLD患者においても検討を進めて行く。
2: おおむね順調に進展している
上記「研究実績の概要」に記載したように、実験結果が順調に出ており「NASH肝線維化進展におけるRAGEの発現増加のメカニズム解明」の部分については、現在論文作成中である。
これまでは当初の計画通りに研究が進んでおり、計画通りに進めていく予定である。今後もマウスNASHモデルを使用したメカニズムの解明を進めるとともに、NASH患者の血清、肝組織診断を用いて患者においても同様なことが起こっていることを検証することも進めていく予定である。
試薬等の物品の購入費用が想定より安く抑えられたため。次年度交付分の予算と合わせて研究試薬の費用に充てる予定である。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件)
Clinical Gastroenterology and Hepatology
巻: 21 ページ: 370~379
10.1016/j.cgh.2022.01.002
Journal of Gastroenterology and Hepatology
巻: 0 ページ: 0
10.1111/jgh.16144
Sci Rep
巻: 12 ページ: 2996.
10.1038/s41598-022-06542-8
Hepatol Commun.
巻: 6 ページ: 1527-1536
10.1002/hep4.1934
巻: 37 ページ: 2313~2320
10.1111/jgh.16019
Int J Mol Sci.
巻: 23 ページ: 15855
10.3390/ijms232415855