研究課題/領域番号 |
22K07454
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
竹下 享典 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (70444403)
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研究分担者 |
片岡 浩巳 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (80398049)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 白血球粒度分布 / リアルワールドデータ / データウエアハウス |
研究実績の概要 |
COVID-19の症例を蓄積し、バイオバンクとしてデータとサンプルの蓄積に努めてきた。 本研究では、電子カルテと臨床検査情報システムの臨床情報、いわゆるリアルワールドデータ(RWD)と白血球粒度分布についてデータウエアハウス(DWH)を構築することを目標としている。令和4年度は、末梢血検査と臨床検査情報システム(以下LIS)の情報の収集を行っている。電子カルテのデータも適宜抽出を行っている。初期COVID-19患者全32名のデータを分析した。患者を重症(n=12)と非重症(n=20)に分け、さらにCRP(C reactive protein)値が高いもの(カットオフ値:30mg/L、n=21)と低いもの(n=11)に分けた。また、免疫抑制剤(メチルプレドニゾロン、フルドロコルチゾン、シクロスポリン、エベロリムス)を併用した46歳の肝移植後男性患者の臨床検査データを、Smirnoff-Grubbs検定およびBox plots検定を用い、他のCOVID-19患者のデータと比較した。CRP、フェリチン、乳酸脱水素酵素、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)の値は、高重症群では低重症群に比べ有意に高く、その他の凝固パラメータは同等だった。高CRP群では、発症までの時間と乳酸脱水素酵素、フィブリノーゲン、Dダイマー、TAT、プラスミンα2-プラスミンインヒビター複合体(PIC)の血中濃度が有意に高く、リンパ球数が有意に低かった。免疫抑制剤を投与した肝移植患者では、TAT、PIC、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター-1(PAI-1)が極めて低値であったことが記録されている。以上より 炎症は、COVID-19関連血栓症の予防に適したマーカーであり、治療標的となりうることを報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
SQLサーバーへの取り込みを試みているが、データ抽出が安定せず試行錯誤を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
データ抽出条件を詳細に定めてSQLサーバーへの取り込みを行う。大部分はうまく取り込めているので現在のデータで解析を進める。 今後はSARS Cov-2感染症の扱いが2類感染症から5類感染症となる可能性があり、データ収集がこれまで通りにいかない可能性がある。すでにある程度データの蓄積があるため、retrospectiveな検討を行う用意もある。
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次年度使用額が生じた理由 |
患者の検体収集及び解析に遅れが生じたため、支出が遅れている。 今後SARS-CoV-2感染症の扱いが5類感染症となる可能性を想定している。 来年度は症例数、検体数ともにこれまでのように増加しない場合を想定して使用計画を実行しないといけない。現在収集したサンプルとデータの解析を中心に行う予定である。
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