研究課題
本研究では乳がん根治治療後のサバイバーを対象とし、慢性痛に対する鍼灸治療の効果を探索する介入試験を行う。R4年度に研究計画書の倫理審査を完了させ、患者登録を開始する予定だった。しかし研究計画書の倫理審査の過程で、鍼灸治療の科学性と治療の再現性の担保が求められ、一方で、患者の状態に合わせた試験治療の個別性の確保も課題となった。そのため、これらの課題を解決するためにR4年度は鍼灸治療の提供体制の基盤整備をまず行った。具体的には、1)鍼灸治療の手順書作成、2)鍼灸師に対する試験治療の研修、の2点である。一点目の鍼灸治療の手順書は鍼灸治療の研究報告ガイドラインであるSTRICTA声明に従うこととし、治療を行った経絡をWHOが規定するコードで記録するようにした。また、試験治療において必須で行う内容、個別に行うことが許容される内容を規定し、施術者によって治療内容がばらつくことがないように枠組みを定めた。また、手順書において施術者の条件を鍼灸師の国家資格取得後臨床経験5年以上かつ試験治療提供前に実技研修を受けることとし、術者の技術を担保した。二点目として手順書の設定の後、試験治療を提供する鍼灸師を対象として、試験治療の研修を行うこととした。研修は8時間x3日間とし、試験に参加する鍼灸師にはこの受講を必須とした。これらの準備が整ったため、研究計画書に作成した鍼灸治療手順書を追加し、R5年3月にあらためて倫理審査を申請した。
3: やや遅れている
R4年度前半に研究計画書は完成しており、倫理審査が完了次第試験治療を開始する予定だった。しかし倫理審査の予備審査において鍼灸治療の科学性と再現性に関する懸念を指摘された。これを解決するために鍼灸師と議論を重ね、鍼灸治療の手順書を作成し。試験治療を提供する鍼灸師に対する研修を行うこととした。手順書の作成と研修の準備に時間を要したため、倫理審査の完了が当初の予定よりも遅れている。
鍼灸治療の手順書、研修の準備はできているため、あらためて研究計画書の倫理審査を行う。倫理審査の完了とともに速やかに患者登録を開始する。現在、適格症例は週1-2例が新患として外来紹介されている状況のため、症例登録が開始となれば、予定されている30症例は6ヶ月から12ヶ月程度で登録完了が期待される。
概ね計画的に予算を執行できたが、ごく少額の残額が発生したため、翌年度に繰り越すこととなった。R5年度の使用計画は変更ない。
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