研究課題
本研究では乳がん根治治療後のサバイバーを対象とし、慢性痛に対する鍼灸治療の効果を探索する介入試験を行う。R4年度に研究計画書の倫理審査承認を受け、R4-5年度に症例登録を進める計画だったが、倫理審査の過程で鍼灸治療の標準化と個別化に関する懸念が指摘された。つまり試験治療の効果と再現性を担保するために治療の標準化が求められる一方で、多様な痛みへの個別対応について、術者による判断や処置をどこまで許容するか事前に定めておく必要があった。そこで鍼灸治療の術者の要件と治療内容を見直し、鍼灸治療の研究報告ガイドラインであるSTRICT声明に従う治療手順書を作成した。R5年度は研究計画書と試験治療の手順書が完成し、R5年7月に倫理審査委員会で承認された。この試験は試験治療の品質を担保するため、試験参加鍼灸師は5年以上の経験を有し、かつ事前講習の受講を要件とした。そしてR5年8月に研究参加鍼灸師4名の研修を実施した。また、8月15日にUMIN-CTRに臨床試験登録(UMIN000051901)し、R5年9月にEDCのセットアップが完了した。R5年10月24日に第1例の症例が登録され、R6年3月までに5例が登録された。本試験は鍼灸治療の標準化と個別化を両立させるべく、試験治療の手順を見直したため、当初の計画より進捗が遅れている。症例登録を促進するため、試験の概要を紹介する資材を作成し、この資材のIRB承認をR6年3月に受け、乳腺外科外来で配布するようにした。
3: やや遅れている
R4年度前半に研究計画書は完成していたが、倫理審査の予備審査において鍼灸治療の科学性と再現性に関する懸念をしてきされた。これを解決するために研究報告ガイドライン(STRICTA声明)に則った鍼灸治療の手順書を作成した上で試験治療を提供する鍼灸師の品質を担保するために参加要件(5年以上の臨床経験)を定め、試験参加前に研修を行うこととした。手順書の作成と研修の準備に時間を要したため、計画全体の進捗が予定より遅れている。
症例登録を進めていく。予定症例数は30例であり、現在、適格症例が週1-2例外来紹介されているため、月3-4例の症例登録によって6-12ヶ月程度での登録完了が期待される。
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