がん遺伝子パネル検査における生殖細胞系列病的バリアントの検討

2023 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 22K07469
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 小杉 眞司 京都大学, 医学研究科, 研究員 (50252432)
• 研究期間 (年度): 2022-04-01 – 2025-03-31
• キーワード: がん遺伝子パネル検査 / NCCオンコパネル / がんゲノム情報センター / 二次的所見 / 生殖細胞系列変異

研究実績の概要

「OncoGuideTM NCCオンコパネルシステム」に搭載されている遺伝子のうち、厚労科研 小杉班「がん遺伝子パネル検査 二次的所見 患者開示推奨度別リスト（ver3.1_20210815）」に掲載されていない90遺伝子について、がんゲノム情報管理センター（C-CAT）の利活用ポータルサイトより2019年6月1日～2023年8月17日分のデータを解析した。現時点で、当該遺伝子に明らかに病的と考えられるバリアント（具体的にはフレームシフトバリアント）を検出している症例群に限定して解析すると、非フレームシフトバリアントを検出した症例群よりも患者年齢が若年である傾向がみられた。

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の中心となるNCCオンコパネルのデータを取得できたため。

今後の研究の推進方策

今後は、フレームシフトバリアント検出群と非検出群についてより詳細な比較解析を進める予定である。具体的には「登録時年齢」「診断日」「がん種」「既往歴」「家族歴」の比較、他に検出されているバリアントの傾向などについて比較検討していきたい。最終的には「OncoGuideTM NCCオンコパネルシステム」を出検した患者の全体像と、そのうち検討対象の90遺伝子について生殖細胞系列のフレームシフトバリアントが認められた症例の特徴を明らかにしたいと考えている。
これらの結果をまとめ、Journal of Human Geneticsに2024年度中に投稿することを計画している。

次年度使用額が生じた理由

初年度、C-CATからのデータ取得にほとんど経費がかからなかったが、今年度からは、コロナ禍終焉により、海外学会参加による最新情報の収集が可能となったが、初年度分は、次年度に繰り越して、海外学会参加による最新情報の収集をより施局的に行う。

研究成果

• [雑誌論文] Difficulties in disclosing secondary findings by facilities performing comprehensive germline genetic testing for rare diseases in Japan (2024)
  • 著者名/発表者名: Hiromoto Kana、Yamada Takahiro、Tsuchiya Mio、Kawame Hiroshi、Nanba Eiji、Goto Yuichi、Kosugi Shinji
  • 雑誌名: Congenital Anomalies 巻: 26 March ページ: 1～1
  • DOI: 10.1111/cga.12562
  • 査読あり
• [雑誌論文] Fundamental knowledge taught in compulsory education for effective genetic counseling: a qualitative study of descriptions in textbooks (2023)
  • 著者名/発表者名: Sakai Eri、Yamada Takahiro、Funaki Tomomi、Iwakuma Miho、Osawa Harumo、Morimoto Kana、Kosugi Shinji
  • 雑誌名: Journal of Community Genetics 巻: 14 ページ: 263～274
  • DOI: 10.1007/s12687-023-00641-3
  • 査読あり
• [雑誌論文] Decision‐making processes behind seeking regular cardiac checkups for individuals with Marfan syndrome: A grounded theory study (2023)
  • 著者名/発表者名: Haruyama Sayoko、Torishima Masako、Kawasaki Hidenori、Wada Takahito、Kosugi Shinji
  • 雑誌名: Journal of Genetic Counseling 巻: Nov 15 ページ: 1～1
  • DOI: 10.1002/jgc4.1832
  • 査読あり
• [雑誌論文] When and how to enlighten citizens on genetics and hereditary cancer: a web survey of online video viewers (2023)
  • 著者名/発表者名: Sogawa Reimi、Wada Takahito、Yamashita Noriyuki、Kochi Mariko、Futagawa Mashu、Kato Fumino、Urakawa Yusaku、Tanimura Yayoi、Yamamoto Hideki、Tomida Shuta、Kosugi Shinji、Hirasawa Akira
  • 雑誌名: Journal of Community Genetics 巻: 14 ページ: 575～581
  • DOI: 10.1007/s12687-023-00663-x
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Reproductive decision-making following the diagnosis of an inherited metabolic disorder via newborn screening in Japan: a qualitative study (2023)
  • 著者名/発表者名: Hiromoto Kana、Nishigaki Masakazu、Kosugi Shinji、Yamada Takahiro
  • 雑誌名: Frontiers in Reproductive Health 巻: 5 ページ: 01～08
  • DOI: 10.3389/frph.2023.1098464
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Development of a plasma-free amino acid-based risk score for the incidence of cardiovascular diseases in a general population: The Nagahama study (2023)
  • 著者名/発表者名: Takeshita Masamichi、Tabara Yasuharu、Setoh Kazuya、Nagao Kenji、Imaizumi Akira、Kageyama Yoko、Matsuda Fumihiko、Tabara Yasuharu、Kawaguchi Takahisa、Setoh Kazuya、Takahashi Yoshimitsu、Kosugi Shinji、Nakayama Takeo、Matsuda Fumihiko
  • 雑誌名: Clinical Nutrition 巻: 42 ページ: 2512～2519
  • DOI: 10.1016/j.clnu.2023.10.024
  • 査読あり
• [学会発表] 国民が安心してゲノム医療をうけるための社会実現に向けて (2024)
  • 著者名/発表者名: 小杉眞司
  • 学会等名: 日本総合健診医学会第52回大会
  • 招待講演
• [学会発表] 婦人科検診における家族歴をもとにした遺伝性腫瘍ハイリスク未発症者への遠隔遺伝カウンセリングの実施。 (2023)
  • 著者名/発表者名: 吉田晶子、中島健、川崎秀徳、鳥嶋雅子、高谷明秀、乾智恵、飯尾智美、山口園美、入駒麻希、稲葉慧、村上裕美、本田明夏、和田敬仁、大内憲明、小杉眞司
  • 学会等名: 第29回遺伝性腫瘍学会学術集会
• [学会発表] がん診療連携拠点病院および国立大学医学部附属病院でのオンライン診療支援システムを用いた遺伝性腫瘍のオンライン遺伝カウンセリング導入経験 (2023)
  • 著者名/発表者名: 中島健、川崎秀徳、吉田晶子、鳥嶋雅子、村上裕美、本田明夏、稲葉慧、和田敬仁、金子景香、高津美月、植木有紗、小杉眞司
  • 学会等名: 第29回遺伝性腫瘍学会学術集会
• [学会発表] 当施設における多診療科・多職種連携による遺伝性消化管腫瘍診療体制の構築 (2023)
  • 著者名/発表者名: 近藤知大、山田敦、中島健、稲葉慧、本田明夏、鳥嶋雅子、吉田晶子、村上裕美、川崎秀徳、肥田侯矢、小濵和貴、妹尾浩、笠井洋祐、濱西潤三、山田洋介、吉澤明彦、南口早智子、小杉眞司、武藤学
  • 学会等名: 第29回遺伝性腫瘍学会学術集会
• [学会発表] RRSOによる性生活への影響に関する支援の必要性：BRCA1/2キャリア女性とパートナーを対象とした質的探索的研究 (2023)
  • 著者名/発表者名: 松川愛未、幅野愛理、鳥嶋雅子、太宰牧子、小杉眞司
  • 学会等名: 第29回遺伝性腫瘍学会学術集会
• [学会発表] 多遺伝子パネル検査でMUTYH関連ポリポーシスの診断がついた多重がん患者の一例 (2023)
  • 著者名/発表者名: 宮田海香子、田口育、小杉眞司
  • 学会等名: 第29回遺伝性腫瘍学会学術集会
• [学会発表] 肝芽腫の治療終了後に家族性大腸腺腫症が疑われた2症例 (2023)
  • 著者名/発表者名: 中島健、川崎秀徳、鳥嶋雅子、村上裕美、大植啓史、日衛嶋栄太郎、梅田雄嗣、平松英文、小川絵里、岡本竜弥、肥田候矢、山田敦、滝田順子、小杉眞司
  • 学会等名: 第29回遺伝性腫瘍学会学術集会
• [学会発表] ハンチントン病の発症前遺伝学的検査で陰性と診断された者が受検を通して生じた心理社会的影響に関する探索的質的研究 (2023)
  • 著者名/発表者名: 大澤春萌、松川愛未、鳥嶋雅子、吉田晶子、村上裕美、和田敬仁、小杉眞司
  • 学会等名: 第47回日本遺伝カウンセリング学会学術集会
• [学会発表] HBOC と診断された女性とパートナーを対象とした質的研究：リスク低減卵管卵巣摘出術の性生活への影響 (2023)
  • 著者名/発表者名: 幅野愛理、松川愛未、鳥嶋雅子、太宰牧子、小杉眞司
  • 学会等名: 第47回日本遺伝カウンセリング学会学術集会
• [学会発表] 希少・未診断疾患を持つ小児の網羅的遺伝学的検査による診断後の親のニーズに関する質的研究 (2023)
  • 著者名/発表者名: 髙塚美衣、稲葉 慧、吉田晶子、和田敬仁、小杉眞司
  • 学会等名: 第47回日本遺伝カウンセリング学会学術集会
• [学会発表] 難病領域における次世代シークエンサーを用いた網羅的遺伝子解析受託施設の二次的所見開示の現状と困難：アンケート調査 (2023)
  • 著者名/発表者名: 洪本加奈、山田崇弘、土屋実央、川目 裕、難波栄二、後藤雄一、小杉眞司
  • 学会等名: 第47回日本遺伝カウンセリング学会学術集会
• [学会発表] がん遺伝子パネル検査の二次的所見開示プロセスに関する現状調査：多施設対象アンケート調査 (2023)
  • 著者名/発表者名: 島田 咲、山田崇弘、源 明理、松川愛未、矢部一郎、青木洋子、織田克利、植木有紗、東川智美、森川真紀、佐藤友紀、平沢 晃、小川昌宣、近藤知大、吉岡正博、金井雅史、武藤 学、小杉眞司
  • 学会等名: 第47回日本遺伝カウンセリング学会学術集会
• [学会発表] Challenges in secondary findings disclosure in facilities offering comprehensive genetic testing for rare diseases. (2023)
  • 著者名/発表者名: Kana Hiromoto, Takahiro Yamada, Mio Tsuchiya, Hiroshi Kawame, Eiji Nanba, Yuichi Goto, Shinji Kosugi
  • 学会等名: Human Genetics Asia 2023
  • 国際学会
• [学会発表] Identifying patient factors related to genetic counseling visits for von Hippel-Lindau syndrome. (2023)
  • 著者名/発表者名: Masako Torishima, Akiko Yoshida, Akira Inaba, Shinji Kosugi.
  • 学会等名: Human Genetics Asia 2023
  • 国際学会
• [学会発表] Open-ended responses to a multicenter survey of the secondary finding disclosure process for cancer genome profiling. (2023)
  • 著者名/発表者名: Saki Shimada, Takahiro Yamada, Akari Minamoto, Manami Matsukawa, Ichiro Yabe, Yoko Aoki, Katsutoshi Oda, Arisa Ueki, Satomi Higashigawa, Maki Morikawa, Yuki Sato, Akira Hirasawa, Masanobu Ogawa, Tomohiro Kondo, Masahiro Yoshioka, Masashi Kanai, Manabu Muto, Shinji Kosugi
  • 学会等名: Human Genetics Asia 2023
  • 国際学会
• [学会発表] A case of Lynch syndrome with strong familial cancer history that was difficult to diagnose due to hematological disease. (2023)
  • 著者名/発表者名: Tomomi Oka, Takeshi Nakajima, Masako Torishima, Akiko Yoshida, Hiromi Murakami, Sayaka Honda, Akira Inaba, Hidenori Kawasaki, Masanobu Ogawa, Takahito Wada, Yasuhito Nanya, Seishi Ogawa, Akifumi Takaori-Kondo, Shinji Kosugi.
  • 学会等名: Human Genetics Asia 2023
  • 国際学会
• [学会発表] The study of the significance of learning human genetics on self-esteem for high school students in Japan. (2023)
  • 著者名/発表者名: Yuka Wada, Takahito Wada, Sinji Kosugi, Takeshi Nakajima
  • 学会等名: Human Genetics Asia 2023
  • 国際学会
• [学会発表] ゲノム医療を安心して 受けることのできる社会へ (2023)
  • 著者名/発表者名: 小杉眞司
  • 学会等名: 日本医学哲学・倫理学会第42回大会
  • 招待講演