研究課題/領域番号 |
22K07475
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
中島 信久 琉球大学, 病院, 特命准教授 (70749770)
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研究分担者 |
藤 也寸志 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 院長 (20217459)
高橋 秀徳 帝京大学, 医学部, 准教授 (70576206) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | IOP / ESMO-DC / がん治療 / 緩和ケア / がん診療連携拠点病院 |
研究実績の概要 |
2022年度は国内外のESMO-DC認定施設におけるIOPの実践のための課題と対応策を整理することを目標とした。当初の予定は以下の3点に集約される。 1)国内のESMO-DC認定施設4施設間での情報共有(WEB 会議+施設訪問など):各施設のIOP実践に向けた具体的な取り組みの内容や課題を整理し、その解決に向けた方策について議論する。2)2020年に行った予備的な調査により、ESMO-DC認定施設といえどもIOP実践状況は国や地域、施設の環境などにより差異があることが判明した。ESMOの年次集会(9月、Paris)において、ESMO-DCのコアメンバーならびに諸外国のESMO-DC施設代表者らとの会議を開催し、各国・各施設の実情やIOP実践に向けての課題や具体的な取り組みに関する検討を行う。3) 国内外のESMO-DC認定施設(41か国、200施設)を対象とした横断調査の準備を進める。 実際の活動状況としては、COVID-19パンデミックが遷延し、医療機関への影響が長引く中で、国内のESMO-DC認定4施設の施設訪問は実施できなかった。そのため、各施設がIOP実現のために抱える問題点の確認やその解決に向けた対策などに関する聞き取りを、2施設の代表者とメールやオンラインミーティングにより行った。また、ESMOの年次集会(9月、Paris)において、ESMO-DCのコアメンバーとのディスカッションならびにESMO-DC認定施設代表者へのヒアリングを行ったが、COVID-19パンデミックの影響で当初予定していた規模での全体ミーティングは開催できなかった。 上記の理由により、今後のプログラム作成プロセスに向けた知見を得ることはできたものの、内容的には限定的なものであった。次年度に対面で1、2に続くプロセスを進めることにより、内容の充実を図っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.COVID-19パンデミックが遷延し、医療機関への影響が長引く中で、国内のESMO-DC認定4施設の施設訪問は実施できなかった。そのため、各施設がIOP実現のために抱える問題点の確認やその解決に向けた対策などに関する聞き取りを、メールやオンラインミーティングにより個別に行うに留まった。 2.ESMOの年次集会(9月、Paris)において、ESMO-DCのコアメンバー(Strasser氏:前委員長ら)とのディスカッションならびにESMO-DC認定施設代表者へのヒアリングを行ったが、COVID-19パンデミックの影響で当初予定していた規模での全体ミーティングは開催できなかった。
上記1、2の理由により、今後のプログラム作成プロセスに向けた知見を得ることはできたものの、内容的には限定的なものであった。次年度に対面で1、2に続くプロセスを進めていくことにより、内容の充実を図っていくことが求められる。そうした状況であることから「(3)やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
上記1、2の結果をもとに、IOPを円滑に推進するためのポイントとその対策について研究グループ内で検討した。この内容に対面で1、2に続くプロセスを進めることで内容の充実を図っていく(現段階では、以下の4項目を軸に検討を進めていく予定である)。 1)人的リソースについて:専門的緩和ケアの提供ならびに基本的緩和ケアレベルでのIOPの実践を促進させる人材の充足が必須である。また「 2つの専門領域(緩和+がん治療)で専門医/認定医などの資格を持つ人材の育成は、IOPの質を高めていく上で重要である。2)提供する医療サービスについて:「症状コントロール目的の入院」「家族サポートのプログラム」「プライマリケア医と連携した在宅ケアの提供」「レスパイト入院の受け入れ」の整備は、患者、家族が安心して自宅で過ごすために必須の項目である。3)研究について:緩和ケアや患者・家族のQOLに関連した研究を行うことは将来のIOPの質の向上のために必要である。専門医制度などとリンクさせることでその実現を働きかけていくことは、拠点病院、とりわけ大学病院や全がん協に加盟するがんセンターにおいて積極的に取り組むべき課題である。4)教育について:「OncologyとPalliative Careとの間で双方向性の教育を行うこと」や「Integrationを促進する教育を行うこと」は、質の高いIOPを現時点で普及させることのみならず、次の世代のリーダーを育成していくという点においても重要である。
以上の点を整理し、今後、国内でのIOP実践のために解決すべき課題を明確にすることに取り組んでいく(2023年度は拠点病院におけるIOP実践を困難にする原因と解決すべき課題を明確にし、2024年度は、がん診療病院でのIOPの実装を目指したmade in Japanのプログラムを確定することを目指していく予定である)。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19パンデミックのため、初年度に予定していたESMO-DC認定施設への施設訪問ができなかったため、旅費などに余剰が生じた。次年度に使用予定である。
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