研究課題/領域番号 |
22K07478
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
河野 豊 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任准教授 (80398320)
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研究分担者 |
植原 治 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (00709248)
田中 真樹 北海道医療大学, 医療技術学部, 教授 (40207139)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 脂肪肝 / フィトケミカル / エゾウコギ / NASH / NAFLD |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、フィトケミカルであるエゾウコギ含有食品を脂肪肝モデルマウスに投与した際の病態改善に関わるメカニズムを分子学的手法により解明することにある。本年度は当初の計画通りエゾウコギ混合餌の摂取至適期間を検討した。10週齢のC57BL6/J雄マウスに、高脂肪食のみの固形飼料、あるいは高脂肪食にエゾウコギの根の抽出成分(ASHE)を5%混合させた固形飼料を4週間、6週間、12週間、18週間と摂取させ、期間終了後に肝臓及び血液を採取して脂肪肝の状態を評価した。その結果、6週間エゾウコギ給餌のマウスにおいて、肝臓中の脂質量(中性脂肪、コレステロール)の低下及び肝細胞傷害(AST/ALT)の軽減を認めた。さらには6週間エゾウコギ給餌のマウスにおいて、病理学的にも脂肪沈着の抑制、炎症細胞浸潤や繊維化の抑制が4週間、12週間、18週間給餌マウスと比して強く認められた。また分子生物学的にも、6週間エゾウコギ給餌のマウスの肝臓では、炎症性サイトカインおよび線維化関連遺伝子が抑制されていた。以上の結果から6週間でのエソウコギ給餌による脂肪肝モデルマウスに対する治療効果が強いことが確認されたため、飼料摂取の至適期間と設定した。先と同様に10週齢のC57BL6/J雄マウスに対して高脂肪食のみの固形飼料、あるいはエゾウコギ混合高脂肪食の固形飼料を6週間給餌して、肝臓のRNAと蛋白抽出、及び糞便を採取し、RNA-Seqとプロテオミクス解析、および16sメタゲノム解析と有機酸濃度の測定をそれぞれ行い、コントロール群(高脂肪食のみ6週間給餌マウス)との比較解析を現在進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
10週齢のC57BL6/J雄マウスに、高脂肪食のみの固形飼料、あるいは高脂肪食にエゾウコギの根の抽出成分(ASHE)を5%混合させた固形飼料を4週間、6週間、12週間、18週間と摂取させ、期間終了後に肝臓及び血液を採取して脂肪肝の状態を評価した。その結果、6週間エゾウコギ給餌のマウスにおいて、肝臓中の脂質量の低下及び肝細胞傷害の軽減を認めた。また病理学的にも脂肪沈着の抑制、炎症細胞浸潤や繊維化の抑制が認められ、分子生物学的にも炎症性サイトカインおよび線維化関連遺伝子が抑制されていた。以上の結果からエゾウコギ混合餌の摂取至適期間を6週間と設定できたため、おおむね順調な進捗と考えている。すでに次年度に向けての動物実験の準備も始められている。
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今後の研究の推進方策 |
10週齢のC57BL6/J雄マウスに対して高脂肪食のみの固形飼料、あるいはエゾウコギ混合高脂肪食の固形飼料を6週間給餌する。肝臓のRNAと蛋白抽出を行いIPAを含むオミックス解析を行う。一方マウス糞便からDNAを抽出をして16sメタゲノム解析を行うと同時に便中の有機酸濃度の測定も併せて行う。以上の研究結果をもとにエゾウコギが脂肪肝に与える因子を同定して、in vitroで検証を行う予定である。具体的には、肝細胞株を用いた脂肪肝モデルを作成してエゾウコギへの影響とみるものと、腸内細菌とエゾウコギを共培養して脂肪肝に関連のある微生物の変化をみることにある。
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次年度使用額が生じた理由 |
エゾウコギ飼料の至適摂取期間の設定において、当初予定していたよりも動物実験がスムーズに遂行できたため脂肪肝の評価に必要な試薬類の予定購入数を下回った。 さらに、マウス便の解析については十分な便の量が集まらず、DNA抽出に必要な試薬を本年度は見送ったことから次年度使用が生じた。翌年度分として請求した研究費とあわせてマウス便の量を十分に採取したうえで予定通りの研究を全て行う。また、脂肪肝のさらなる評価を行うための試薬の購入に使用する予定である。
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