研究課題/領域番号 |
22K07501
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
関 守信 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (10468481)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | glymphatic system / αシヌクレイノパチー / パーキンソン病 |
研究実績の概要 |
本研究の目的はαシヌクレイノパチー被験者(パーキンソン病、多系統萎縮症、レビー小体型認知症、特発性レム睡眠行動障害)を対象に、MRI(拡散テンソル画像および拡大血管周囲腔の評価・解析)を用いてglymphatic systemの機能評価を行い、病態との関連性を検討することである。2022年度に新たに32例の被験者をエントリーした。Preliminaryな解析として、拡散テンソル画像を用いたDTI-ALPS(diffusion tensor image analysis along the perivascular space)法によりパーキンソン病15例、健常者27例のglymphatic systemの機能評価を行った。glymphatic systemの活性と相関すると推定した血管周囲腔方向の水の拡散能の指標としてALPS indexを算出した。パーキンソン病群と健常者群でALPS indexは有意差は認めなかった。パーキンソン病群を日本語版Montoreal Cognitive Assessment(MoCA-J)スコアにより認知症群、軽度認知機能障害群、認知機能正常群に分けると、認知症群においてALPS indexは低い傾向がみられた。パーキンソン病群においてALPS indexはMoCA-Jスコアと有意な正の相関、Movement Disorder Society Unified Parkinson's Disease Rating Scale(MDS-UPDRS)part3と有意な負の相関を示した。まだ症例数が少なく更なる検討が必要であるが、glymphatic systemの機能は認知症を伴うパーキンソン病で低下傾向であり、glymphatic systemの機能低下はパーキンソン病の認知機能障害、運動症状の重症化に関係することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
長引くコロナ流行の影響で被験者のリクルートが進まない時期があったため。
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今後の研究の推進方策 |
研究の目的達成のため、以下の3点を中心に研究を進めていく。① Preliminaryな解析で得られた結果をより確実なものにするため、αシヌクレイノパチー被験者の数を増やしていく。パーキンソン病以外のαシヌクレイノパチー被験者のリクルート(多系統萎縮症、レビー小体型認知症、特発性レム睡眠行動障害)も積極的に行っていく。② 拡散テンソル画像を用いたDTI-ALPS法の他に、拡大血管周囲腔の評価によるglymphatic systemの活動評価に取り組む。③ αシヌクレイノパチー被験者の睡眠障害とglymphatic systemの機能との関係を検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ流行の影響で被験者のリクルートが進まない時期があったため次年度使用額が生じた。コロナ流行も終息を迎えつつあり、2023年度は積極的に被験者のリクルートを行っていく予定である。
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