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2022 年度 実施状況報告書

エクソソームの輸送先選択性に基づきタウの伝播阻止を目指すアルツハイマー病治療

研究課題

研究課題/領域番号 22K07503
研究機関帝京大学

研究代表者

磯尾 紀子  帝京大学, 医学部, 講師 (90548330)

研究分担者 林 俊宏  帝京大学, 医学部, 教授 (60505890)
磯尾 直之  帝京大学, 医学部, 講師 (80420214)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードアルツハイマー病 / エクソソーム / タウ / 輸送機構
研究実績の概要

本研究は、アルツハイマー病における病原性タンパク質であるタウの脳内伝播を担うエクソソームを同定し、その輸送先を規定する特性を明らかにするとともに、その輸送経路を特異的に遮断する方法を開発することを目的としている。当該年度は、NanoSightを用いた粒子径測定や電顕像観察によりヒトP301S変異型タウを発現するNeuro2a細胞から精製・回収したタウ内包エクソソームがエクソソームとしての形態学的特徴を保持していることを確認した。さらに密度勾配遠心法を用いた分画による生化学的解析の結果、エクソソームに内包されるタウがAnnexin A2とよく局在が一致すること、タウが内包されることによりAnnexin A2がより密度の小さい画分へ集積することを見出した。このタウとAnnexin A2の局在パターンはエクソソームマーカータンパク質であるCD9/63/81の局在パターンとは一致せず、タウはAnnexin A2と共に古典的なエクソソームとは異なるエクソソームに内包されることが示唆された。また、タウ内包エクソソームをDiI等の脂溶性色素による膜の蛍光標識を行った上で神経細胞の培養上清中へ添加し、細胞へのuptake能をライブセルタイムラプスイメージングにより解析した。タウ内包エクソソームは経時的に細胞内へとuptakeされることが明らかになり、神経細胞から放出された後に神経細胞へとuptakeされる点で細胞間輸送への関与が示唆された。この膜を蛍光標識したタウ内包エクソソームを野生型マウスの海馬CA3領域に注入したところ、7日後にはCA1の神経細胞の投射先である海馬台の神経細胞内にエクソソームの蛍光と共にタウの局在が確認でき、CA3の神経細胞からCA1の神経細胞を介して海馬台へと細胞間輸送が生じたものと考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでに樹立したヒトP301S変異型タウを発現するNeuro2a細胞由来のタウ内包エクソソームについて形態学的・生化学的解析を行った結果、エクソソームとしての特性を保持していることが確認され、in vitroおよびin vivoでの検証により細胞間輸送への寄与も明らかになりつつある。また、LC/MS-MSによるタウ内包エクソソームのプロテオミクス解析を実施中であり、エクソソームの輸送機構の解明を目指した研究が進展しているものと考えている。

今後の研究の推進方策

現在、細胞内でタウ凝集体を形成する疾患モデル細胞株の作製を進めており、この細胞由来のエクソソームには細胞死を惹起する病原性を獲得したタウが多く内包されることが期待される。そこでこの病原性タウ内包エクソソームの特性についての解析をin vitro、in vivoの両面で進め、細胞間輸送機構を明らかにしていく。

次年度使用額が生じた理由

研究分担者によるエクソソームの電顕解析のための費用として計上していたが、解析に時間がかかっている状況にある。次年度も引き続き解析を行う予定であり、その際に必要となる試薬類の購入のために使用を予定している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Identification of a subpopulation of exosomes containing tau proteins2022

    • 著者名/発表者名
      Kentaro Kawata
    • 学会等名
      第63回 日本神経学会学術大会

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公開日: 2023-12-25  

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