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2023 年度 実施状況報告書

エクソソームの輸送先選択性に基づきタウの伝播阻止を目指すアルツハイマー病治療

研究課題

研究課題/領域番号 22K07503
研究機関帝京大学

研究代表者

磯尾 紀子  帝京大学, 医学部, 講師 (90548330)

研究分担者 林 俊宏  帝京大学, 医学部, 教授 (60505890)
磯尾 直之  帝京大学, 医学部, 准教授 (80420214)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードアルツハイマー病 / エクソソーム / タウ / 輸送機構
研究実績の概要

当該年度は、昨年度に見出したNeuro-2a細胞から精製・回収したタウ内包エクソソームが密度勾配遠心法を用いた生化学的解析の結果、エクソソームマーカータンパク質であるCD9/63/81を有する古典的なエクソソームとは異なるという知見について、FACSを用いたシングルエクソソーム解析を実施し、検証した。タウ内包エクソソームは、直径100-200 nmの小さい群と直径250-500 nmの大きい群に分かれて検出され、小さい群は、おおよそエクソソームと同じサイズであると考えられた。この小さいエクソソーム群において、CD9/63/81の発現量が、Neuro-2a細胞由来のタウを含まないエクソソームと比較し、タウ内包エクソソームで有意に減少しているという結果であった。今回の結果は、近年指摘されている構成タンパク質の相違などによるエクソソームの多様性が存在することを示唆するものと考えられた。また、昨年度からこのタウ内包エクソソームの膜を蛍光標識して野生型マウスの海馬に注入した上で、その脳内分布を観察し、神経細胞への取り込みや輸送先などを解析している。海馬CA1野へ注入7日後に灌流固定を行い、作製した脳切片についてタウと成熟神経細胞マーカーであるNeuNに対する抗体を用いて免疫組織染色を実施し、蛍光顕微鏡下で観察した。エクソソームおよび内包タウは注入部位であるCA1野の錐体細胞内のみならずその直接の投射先である海馬台の錐体細胞内でも観察されたが、CA1野の錐体細胞へと投射するCA3野の錐体細胞内ではほとんど観察されなかった。したがって、大部分のタウ内包エクソソームはマウス脳内で海馬CA1野の錐体細胞内に取り込まれた後、その投射先である海馬台へと軸索内を順行性に輸送され、海馬CA3野の錐体細胞へと逆行性に輸送されることはなかったと考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

タウ内包エクソソームについての生化学的解析の結果、タウはCD9/63/81を有する古典的なエクソソームとは異なるエクソソームに内包されるという新たな特性を見出すことができた。現在はin vitroおよびin vivoの両面からエクソソームの細胞間輸送機構についての研究が進展している。

今後の研究の推進方策

これまでに確立した蛍光標識タウ内包エクソソームを神経細胞の培養上清中へ添加し、細胞へのuptakeをライブセルタイムラプスイメージングにより解析するuptake assayを用いてエクソソームの細胞へのuptakeに関与する分子機構を解明する。種々のエンドサイトーシス阻害剤のuptakeに与える影響を解析するとともに、LC/MS-MSによるタウ内包エクソソームのプロテオミクス解析を実施する。また、アルツハイマー病のモデル動物であるAPP-KIマウスを入手し、タウ内包エクソソームを注入して病態の進展に与える影響を解析する予定である。

次年度使用額が生じた理由

2023年度にLC/MS-MSによる解析のための費用を計上していたが、本学のLCが2024年度により高性能な機種に刷新されることになっため、2024年度に入ってから解析を行うことに実験計画を変更し、その際に使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Characterization of tau-containing exosomes derived from Neuro2a cells2023

    • 著者名/発表者名
      Noriko Isoo
    • 学会等名
      Society for Neuroscience 2023
    • 国際学会

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公開日: 2024-12-25  

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