研究課題/領域番号 |
22K07505
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
清水 優子 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (20246507)
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研究分担者 |
池口 亮太郎 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (30731731)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 多発性硬化症 / 妊娠 / 出産 / 生物学的製剤 / バイオマーカー / 再発予防 |
研究実績の概要 |
フマル酸ジメチル(DMF)およびナタリズマブ(NTZ)を周産期に使用した妊娠症例の安全性および使用方法、リンパ球サブセットの変化について、各2例の妊娠・出産関連の再発の有無、DMD暴露期間、母体、胎児、新生児への有害事象の有無、授乳、DMD再開時期について後方視的に観察した。DMFを使用した2例は、妊娠5週、6週目に本剤を中止。妊娠中の再発はなく、正常分娩。初乳を与えたのち、出産1週間後DMFを再開し混合授乳を開始。児の発達は正常。なお、1例は、出産9ヶ月後の頭部MRIで新病巣を認めたが臨床的再発はなく、DMFを継続、以降のMRIでは再発なし。児の成長・発達は正常。NTZを使用した2例は、妊娠が判明した時点で投与間隔を6週間に延長し、1例は妊娠21週、1例は30週で投与を中止した。いずれも正常分娩で新生児に血液異常はみとめられなかった。出産後、1例目は初乳をあたえたのちNTZを再開した。2例とも患者希望により人工乳となった。また4例の妊娠前、妊娠中、出産後の末梢血リンパ球サブセットを検討したところ、妊娠中はTh2シフトになる。NTZにおいてCD4とCD8のTh1/Th2は妊娠前と比較し妊娠第2三半期移行低下し出産後徐々に妊娠前の値に戻ることが確認でき妊娠中のTh2シフトが確認できた。産後1年以内の再発は認めず、児の成長・発達も正常である。妊産婦への薬剤の安全性は、倫理的観点からランダム化比較試験は施行不可のため、レジストリや市販後調査、症例報告が主体である。MS合併妊娠の周産期におけるDMFおよびNTZはいずれも禁忌にはなっていないが、安全性に関しては今後も注意深いモニタリングが必要であり、今回の我々のMS合併妊娠症例においても母子ともに重篤が有害事象は認められなかった。NTZの授乳に関して、本邦、米国、欧州の添付文書やガイドラインでは若干記載が異なり統一化が望まれる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在多発性硬化症、視神経脊髄炎関連疾患の合併妊娠症例は着実に症例を蓄積している。また妊娠・出産の再発リスクにともなうバイオマーカー測定についても順調に試料をあつめ測定を継続している
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、多発性硬化症、視神経脊髄炎関連疾患合併妊娠の再発予防予測因子についてさらに症例を蓄積しつつ国際学会での発表 英文論文化する。そして当初のアウトカムとして設定している多発性硬化症、視神経脊髄炎関連疾患合併妊娠の再発予防と予後向上、そして治療指針の一助となることを達成する
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次年度使用額が生じた理由 |
英文翻訳代及びバイオマーカ測定第のため次年度使用額が生じました
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