研究課題/領域番号 |
22K07518
|
研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
藪内 健一 大分大学, 医学部, 助教 (10763807)
|
研究分担者 |
松原 悦朗 大分大学, 医学部, 教授 (70219468)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 抗Aβオリゴマー特異的抗体 / アルツハイマー型認知症 / 最小フラグメント化抗体 / 血液脳関門 / 行動薬理学 |
研究実績の概要 |
申請者らは、独自に開発したアミロイドβ(Aβ)オリゴマー特異的抗体を起点として、より安価で血液脳関門を通過し、有効性を備え持ったダウンサイズ化に取り組んできた。こうして得られた Aβオリゴマーに対する最小フラグメント化抗体は、アルツハイマー型認知症(AD)モデルマウスを用いた検討において、末梢からの投与でも容易に血液脳関門を通過し、行動実験でも認知機能低下を有為に改善するのみならず、これまでの抗体製剤と異なり神経細胞内に移行して効果を発揮する可能性が、申請者らのグループによるこれまでの検討で示唆されていた。本課題では、この最小フラグメント抗体の細胞内への取り込み機序の解明から開始し、この抗体の細胞内での挙動を明らかにすることで、より有効で安全かつ安価なADの根元療法の開発を目指している。2023年度は、まず遅れていた急性スライス実験の導入と条件設定に取り組んだ。その結果、最小フラグメント化抗体が主に海馬GABA神経の細胞内に取り込まれ、保護的な役割を果たしていることが示唆された。次年度はさらにこの結果を発展させ、最小フラグメント化抗体による神経保護効果の全容の解明を目指す。他方、最小フラグメント化抗体の中枢移行性のさらなる改良を目指した製剤化の開発については、これまで数種類の候補物質の併用投与を行なったが、現在までに有意な中枢移行性改善を見せたものは見出せなかった。この点は引き続き次年度も検討を続ける。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、最小フラグメント化抗体の末梢投与での中枢移行性をさらに高めるための製剤開発の実験において、予定した数種類の候補物質の同時投与によっては、著明な効果を得られなかった。そのため、今年度は全体の進行がやや遅れており、最終的な in vivoの動物実験に入ることができなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は最終年度であるため、急性スライス実験の更なる推進により当該抗体の細胞内機序の解明をさらに進める。他方で当該抗体の製剤化に向けた取り組みにおいて遅れが出ているため、候補となる担体物質の更なるリストアップや、既知の候補物質同士の配合と最適化などを通じて、より優れた中枢移行性の実現に取り組む。
|
次年度使用額が生じた理由 |
予定していた実験課題のうち、最小フラグメント化抗体の中枢移行の改良に関する実験に遅れが生じ、予定していた動物の行動実験に未消化予算が生じた。この分は最終年度に持ち越し、予定通り行動実験に必要な物品費として使用する。
|