研究課題/領域番号 |
22K07525
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研究機関 | 明治薬科大学 |
研究代表者 |
紀 嘉浩 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (80415140)
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研究分担者 |
柳津 茂慧 明治薬科大学, 薬学部, 助教 (20913362)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | リピート伸長疾患 / MBNL1 / 筋強直性ジストロフィー / RNA foci / アンチセンス核酸 |
研究実績の概要 |
筋強直性ジストロフィーなど、反復配列(リピート)の異常伸長を原因とする疾患では変異した遺伝子から伸長リピート配列を含むRNAが転写される。これらのリピートRNAは「RNA foci」と呼ばれる封入体(凝集体)を核内に形成し、RNA結合タンパク質を捕捉する(RNA毒性)。一方、伸長したリピートRNAがRNA fociに含まれずに細胞質に輸送されると、翻訳されてリピート由来のポリペプチドを生じる。これらのリピート由来ポリペプチドの多くは凝集性を示し、有害であることが示唆されている(タンパク質毒性)。疾患発症においてリピートRNAに由来するRNA毒性とタンパク質毒性の寄与の程度は不明であるが、RNA fociはこれらの両者に関わる点が重要である。そこで、本課題では、RNAの分解やフォールディングに関わる可能性があるヌクレアーゼおよびヘリカーゼ関連遺伝子に注目し、網羅的なsiRNAスクリーニングによってリピートRNAの動態制御に関わる新規分子経路を探索している。 前年度に、ヌクレアーゼ関連遺伝子の中からCUGリピートのRNA fociを減少させる遺伝子を見出した。当該因子の発現抑制はRNA fociを増加させ、逆に過剰発現によりRNA fociが減少した。興味深いことに、この候補遺伝子はCUGリピートRNA fociの構成タンパク質であるMBNL1のスプライシングにも影響することが示唆された。今年度は、まずMBNL1のスプライシングが核局在性だけでなく、実際にRNA fociの形成にも影響することを確認した。また、この候補遺伝子はタンパク質のリン酸化経路にも関わる。この経路に関わる遺伝子の発現抑制を行い、RNA fociの形成に影響することも見出した。さらに現在、新たなヘリカーゼ関連遺伝子をRNA foci制御因子の第2の候補として検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究自体には特段の問題ないが、所属機関の業務の増加により、研究に割けるエフォートが低下し、進捗が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
研究分担者を追加することで研究の迅速化を図る。当初の研究の論文化を進めるとともに、次の候補遺伝子の検討を進める予定である。また、これまでの研究の副産物として、当初想定していなかった興味深い現象に気づいたため、そちらも論文化を計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属機関における業務の増加により、研究の進行が遅くなったため残額が生じた。次年度も同様の状況であることが予想されるため、研究分担者を配置することで研究の進捗を図る。進行の状況によっては、補助期間の延長も検討する。
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