研究実績の概要 |
本研究課題では非侵襲的神経刺激が脳内神経振動に干渉できるか検討するため、最も効率的に脳内神経振動が干渉され是正されるプロトコールの探索することを目標の一つにかかげ、計画の一つにすでに報告されている刺激法の検討を含めている。既報告(Morera Maiquez et al., Curr Biol. 2020;30(12):2334-2342.e3.)では末梢神経刺激による脳内神経振動同調がトゥレット症候群の症状改善に結びついていると報告されている。昨年度までにトゥレット症候群において末梢神経刺激が脳内神経振動に干渉することは確認したが、既報告とはことなり周波数依存的ではないことや非律動性刺激でも脳内神経振動へ干渉することが見出した。このような末梢神経刺激に対する脳内神経振動への干渉の神経基盤として、小脳での予測符号化不全が想定されているが、実際にトゥレット症候群で小脳の機能異常が認められるか?小脳疾患患者において同様の予測符号化不全があるかは不明だった。その為末梢神経刺激による脳内神経振動への干渉の神経基盤を明らかにするためトゥレット症候群および遺伝性小脳失調患者において、予測符号化の神経生理学的指標であるミスマッチ陰性電位を検討した。結果は、ミスマッチ陰性電位は両疾患で増大していた。予測符号化理論における小脳内部モデルの精度低下を定量できる可能性が示唆された。
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