研究課題/領域番号 |
22K07536
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木下 彩栄 京都大学, 医学研究科, 教授 (80321610)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 認知症 / アルツハイマー病 / マイオカイン / 運動 / 体組成 / 筋量 |
研究実績の概要 |
運動習慣は認知症の発症・進行を遅らせるのに有効であることが示されている。今回の研究では、運動介入と認知機能の関連を調べるために、①アルツハイマー病患者サンプルおいて報告されているmyokineのうち、irisinおよび認知機能と負の相関をすると報告されているhemopexinを測定し、その生理的・病理的意義を検証する、 ②コホート研究により入手した患者の認知機能と体組成や筋肉量、筋肉の質を測定し、筋肉の質を評価する指標であるPhase angle (PhA)に着目した解析を行うことを目的とした。 本年は、①の患者血清におけるmyokineの測定(irisinおよびhemopexin)と認知機能との相関について検討し、②のコホート研究より1500 例を超えるサンプルを収集し、認知機能と体組成、筋肉量、筋肉の質の解析を行った。 その結果、非運動時の血清irisin値は脂肪組織からの影響を大きく受けることが示唆され、そのirisinの機能については、今後検討が必要である。体型分類ごとの認知機能の関連性を検討した結果、女性肥満群においてirisinと認知機能との間に負の相関が見られた。今後、この意義を検討していく。 サルコペニア筋より放出されるhemopexinについては、認知症の女性に群においてhemopexinと骨格筋量、骨格筋率の間に負の相関があることが示唆された。今後さらに検討を加える予定である。 コホート研究では、1500例を超えるサンプルにおいて、認知機能と体組成、筋肉量、筋肉の質(PhA)における解析を行い、線形回帰分析の結果、PhAは認知能力において重要な予測因子であることが明らかになった。本研究では、高齢者においては、筋肉の質が高いほど認知機能の改善に寄与する可能性があることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1~2年目で測定すべきサンプルはほぼ測定し、その後、縦断的に解析するデータを測定するのみとなっており、それも医療機関との日程調整は済んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
1~2年目で測定すべきサンプルはほぼ測定しているため、これについては、統計学的な解析を加えていく予定である。 さらに、縦断的に解析するデータを測定する予定であり、医療機関と調整して月に何日か測定日をもうけているため、引き続きデータ収集を行っていく。 すでに測定したデータは、統計学的な解析を加えて論文化していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入した物品が予定より安く購入できたため。2799円であるため、次年度必要な文具か書籍の購入に充てる予定。
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